人間にとって食べることは最も基本的な生命活動だが、医療現場ではその重要性がよりあらわになる。患者さんの治療やリハビリを効果的に進めるためにも栄養管理はまさに生命線だ。平成医療福祉グループでは、多職種が連携しながら患者さんの栄養状態回復に取り組み、最後まで「口から食べる」をあきらめずに嚥下機能を向上させるリハビリなども行なっている。患者さんが「食べたい」と思えるようにおいしい食事をつくる調理師、患者さんの思いを汲み取りながら「食べる」を取り戻そうとする病棟スタッフは、命をつなぐために日々の仕事に向き合っている。
(撮影:生津勝隆、構成・執筆:杉本恭子/writin’ room)
おいしい食事を提供するために
平成医療福祉グループでは、食事を入院生活の楽しみにしてもらえるように、365日3食異なるメニューを提供。食材の仕入れから調理・配膳まで、すべてグループ内で行なっている。博愛記念病院の厨房に密着し、食事ができあがるまでの1日の流れを追いかけた。
(以下、特に記載のない写真はすべて同病院にて撮影)
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患者さんの「食べられる」に応える
患者さんの咀嚼・嚥下機能に合わせて、また「これなら食べられる」という要望に合わせて、同グループではさまざまな食形態や付加食を用意している。また、介護食「ソフト食」であっても、食べるときに「おいしそう」と感じてもらえるよう盛り付けを工夫するなど、細やかな気配りを欠かさない。
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食事を口に運ぶ手を支える
同グループでは、患者さんは病室ではなく病棟のナースステーション前にあるラウンジで食事をする。看護師、介護士、管理栄養士、STなどリハビリスタッフも集まり、患者さんたちの見守り・観察や食事介助をするため、食事の時間はとてもにぎやかだ。ラウンジでの食事は、ベッドから起きて過ごしてもらう離床の取り組みのひとつにもなっている。
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多職種が連携する栄養サポートチーム
同グループの病院には、低栄養状態で入院する患者さんも多く、治療やリハビリを進めるために栄養ケアマネジメントに力を入れている。病棟では、医師、薬剤師、管理栄養士、看護師、社会福祉士、言語聴覚士(ST)、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、医師クラークによる「栄養サポートチーム(NST)を組み、それぞれの立場から得た患者さんの情報をチーム全体で共有している。
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プロフィール
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フリーライター
杉本恭子
すぎもと・きょうこ
京都在住のフリーライター。さまざまな媒体でインタビュー記事を執筆する。著書に『京大的文化事典 自由とカオスの生態系』(フィルムアート社)。
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フォトグラファー
生津勝隆
なまづ・まさたか
東京都出身。2015年より徳島県神山町在住。ミズーリ州立大学コロンビア校にてジャーナリズムを修める。以後住んだ先々で、その場所の文化と伝統に興味を持ちながら制作を行っている。