病院や施設で働くことに感じた魅力 栄養部の新人スタッフが入職するまでに迫りました!/新人座談会 〜栄養部編〜
病院や施設で働くことに感じた魅力 栄養部の新人スタッフが入職するまでに迫りました!
管理栄養士、栄養士、調理師の3職種の1、2年目スタッフによる栄養部の新人座談会をお届けします!入職までの経緯や、それぞれの専門職種を目指した想いをお聞きしました。職種への意外な入り口や、専門職種ならでは視点が垣間見えます。取材中は終始笑いが絶えない楽しい雰囲気でした。ぜひご覧ください!
栄養・調理の仕事を目指すまで
ではまず1人ずつ簡単に自己紹介をお願いします。
木下:泉佐野優人会病院の管理栄養士2年目の木下由子です。出身は大阪府の貝塚市です。
渡邉:緑成会整育園で調理師をしている、1年目の渡邉将希です。東京都青梅市の出身です。
須佐:ケアホーム横浜で管理栄養士をしている1年目の須佐彩花です。神奈川県の横浜市出身です。
山仲:平成病院の山仲秀樹です。栄養士2年目で、兵庫県南あわじ市の出身です。
木下さんは以前Instagramのレシピ企画(※)にもご協力いただいて、その節はありがとうございました。
木下:採用されると思ってなかったのに、選ばれてしまって(笑)。
※平成医療福祉グループのInstagramアカウントでは「HMW栄養部のかんたん健康レシピ」を掲載中! 木下さんのレシピ「玄米手まり寿司」はこちらからご覧いただけます。
そういう経緯だったのですね(笑)。みなさんはそれぞれの仕事に進むまでにどんなことをされていましたか。
山仲:高校生のときは美術部で、もともと大学も美大志望やったんです。
もともとは美術方面に進む予定だったのですね。当時はどんなことをされていたのでしょう。
山仲:美術部では全般的にやっていて、大学は造形を専攻にしていました。
今は作ったりすることは。
山仲:仕事を始めてからはないですね。学生の頃は絵を描いたりもしてましたよ。
須佐さんはいかがですか。
須佐:今も続けているんですけど、小さい頃からずっとクラシックバレエをやっています。
言われてみるととても姿勢がとてもいいですね。ちなみに今はどんな形で続けておられるのですか。
須佐:趣味程度というか、普通の趣味よりはもうちょっとやっているかもしれないですけど(笑)。
(笑)。では今も発表の機会があるとか。
須佐:今でも発表会には出ていますね。稽古もずっとやっています。
木下:私は子どもの頃から書道を続けています。幼稚園で書道教室に入ったので、3歳から今まで。
ずいぶん長いですね! 今も教室に入られているのですか。
木下:小さい子たちと一緒に習っていますよ。先生からは「そろそろ教える側になれるよ」って言われます(笑)。
ちなみに今は何段ですか。
木下:九段です。十段になって、さらに試験を受けると講師になれます。
講師ももうすぐでなれそうですね。では渡邉さんは。
渡邉:僕は中学から高校までずっとサッカーをしていました。で、高校を卒業して、調理の専門学校に入って、卒業して、で、ここ緑成会整育園に入りました(笑)。
丁寧に経歴をありがとうございます(笑)。サッカーは強い学校でしたか。
渡邉:いや、めちゃめちゃ弱かったんですけど、部活自体はとても楽しかったですよ。
ご自身としては楽しんでいたと。最近はやっていないですか。
渡邉:やっていないですね。やりたくなる時はあるんですけど、サッカーは1人じゃできないので(笑)。
それもそうですね(笑)。
美術、バレエから
栄養の道へ
みなさんが今の仕事を目指すようになったきっかけを教えてください。山仲さんは美大に進もうとされていたということでしたが。
山仲:実際、沖縄の大学に進もうと思っていたんですけど。お兄ちゃんも東北の美大に進んでいたので、家庭の事情というか、僕まで遠くに行かない方がいい、ということになり、近くで進学することになったんです。そこで美術の方面をやめて、徳島にある大学の栄養学科に進むことにしたんです。
そこで栄養学科を選ばれたのは何か理由があったのですか。
山仲:もともとご飯を作るのも好きで、そういう人の栄養を管理するっていうことにも興味を持ったんです。
美術の道に進まないとしても、自分にとって興味のあるものを選ばれたと。理系の要素も強いと思いますが、その辺は大丈夫でしたか。
山仲:がっつり文系だったんで、入学してから大変でした(笑)。むっちゃ「あーっ!」てなりながら勉強して、でも先生とか友達とか、環境には恵まれたので、楽しかったです。
ちなみに今日の取材場所である整育園のすぐ目の前には美大(武蔵野美術大学)があるんですよ。
山仲:さっき見て「いいなあ」って思いました(笑)。
(笑)。須佐さんはどんなきっかけでしたか。
須佐:バレエをやっていると体型を維持しなきゃいけないんですけど、そこから栄養に興味を持ち始めて。
バレエが入り口なんですね。しっかりした食事制限をされていたのですか。
須佐:私の教室ではそこまで厳しくはなかったです。バレリーナとしては体型を細く維持したい、でも踊るにはエネルギーも必要なので、食べることもとても大事で。そこで「どうやって食べたらいいのかな」って考え始めたのが、興味を持つきっかけになりました。
バレエをやっていると体型を維持しなきゃいけないんですけど、そこから栄養に興味を持ち始めて。
須佐:本を読んで勝手にやっていたので、なんちゃって栄養管理でした(笑)。だからもうちょっと勉強をしたいなと思って。
とてもアスリート的な興味から入られたのですね。周囲でバレエからこの道に進まれた方は。
須佐:私の周りではいなかったですね。
ちなみにバレエの道に進むという選択肢もあったのですか。
須佐:考えなくはなかったんですけど、大学を選ぶ時、それよりも「栄養を学びたい」っていう気持ちが強くなったので、そちらに進むことにしました。
きっかけは身近な人の病気
さらに、病院食に感動…
木下さんはいかがですか。
木下:私のいとこがずっとアレルギーを持っていて「なんで人によって食べられないものがあるんやろう」って思ったっていうことがまずきっかけでした。それと、高校3年生の頃に母親ががんになって、抗がん剤治療をしている時に味を感じられなくなったんです。そういうことを間近で経験していたので、食事のことについて携われる仕事に就こうと思って、管理栄養士を目指しました。
身近な体験がきっかけになったのですね。
木下:でも以前は「病院で働くのは嫌やな」って思ってたんですけどね。
それなのに結果的に病院に就職されて。
木下:そうですね、吸い込まれるように(笑)。もともとは「血が無理! 怖い! 病院イヤ!」みたいな感じでした。
(笑)。渡邉さんはどのように調理師に興味を持ったのですか。
渡邉:僕は高校の時、食中毒で入院しちゃったんですよ。入院中は、全然形のあるものを食べられなくて、2日くらいしてやっとおかゆを食べられたんですけど、それがめちゃめちゃうまくて(笑)。
全員:(笑)。
病院での食事に感動されたと。
渡邉:病院食って、ソフト食(※)とか、食べやすいように柔らかく固めた食事があるじゃないですか。実際食べてみて「これはどうやって作ってるんだろう」って思ったんです。栄養管理も気にはなったんですけど、どちらかというと作る方により興味を持って、調理の道に進むことにしました。
※噛む力・飲み込む力が低下した方が食べやすいよう、形はあるが舌や歯茎で潰せる程度まで柔らかく作られた食事。
レストランなどで働く調理師ではなく、最初から病院食を作ることに興味を持ったのですね!
渡邉:そうなんです。
山仲:えーっ、珍しいですね!
渡邉:入職した時も「病院に新卒の調理師はなかなか入らないから、教える方も難しい」って言われました(笑)。
病院やお店、実習で感じた現場のこと
みなさん大学や専門学校はどうでしたか。木下さんは病院に就職したくなかったとのことでしたが、実習など行ってみてどう思われたのでしょう。
木下:実習で「病院が一番楽しい」って気づいたんです。ちょうど病院実習に行く頃に臨床栄養学(※)をガッツリ学んでいて、その勉強がもう楽しくてしょうがなかったんですよ。
※さまざまな疾患や病態ができあがる原因や治癒に、どのように栄養学が関わっているかを学ぶもの。
なるほど、学問として向いていたのですね。
木下:すごい楽しくて、テストも割とできて「もしかしたら向いてるのかもしれへん」って。そのタイミングで病院実習に行ったので、座学で吸い込んだ知識を発揮できる楽しい場所だと感じました。
管理栄養士と栄養士で実習に違いはあるのでしょうか。
山仲:僕も学校は管理栄養士の育成過程に入ったので、実習の内容は同じ感じでしたよ。病院の実習はこのグループの博愛記念病院だったんです。
そこですでにこのグループと出会っていたのですね。
山仲:実習中、デイサービスで出し物なんかもやらせてもらって、それが楽しかったです(笑)。
実習でそういったことにも参加されるのですね(笑)。調理師さんは実際のお店に実習に行かれて。
渡邉:1年生の時は中華のお店で研修して、また2年生の時も中華で(笑)。2年目の時は「中華好きだよね? 有名店に決めておいたから」って言われて。
全員:(笑)。
ご自身的にはどうだったんですか。
渡邉:中華料理はちょっと大変で。中華って提供まですごい速くておいしいじゃないですか。あれは、そのための仕込みが事前にしっかりできているからなんですね。
周到な準備の賜物ですね。ひたすら野菜の皮を剥いたりなどされて。
渡邉:はい、長ネギとかもすごい量切るんですよ。そういう意味では大変で。でも実習自体はとても楽しかったですね。学生だからかもしれないですけど、みなさん優しかったですし。
須佐さんはいかがですか。
須佐:私の大学は臨地実習に力を入れていたので、実習量は多かったです。病院実習も2回、2週間と3週間行きました。大変でしたけど、学ぶことも多かったなと思います。
施設には行かれなかったのですか。
須佐:私はもともと実習で施設希望だったんですけど、2回とも病院に当たってしまい…。私は木下さんとは逆に「私にとって病院での仕事は難しそうだな」って感じました(笑)。
木下:(笑)。
感じ方は人それぞれですから(笑)。どういう印象を受けたのでしょう。
須佐:実習先で行ったのが急性期の病院だったので患者さんの退院が早くて、私はもうちょっとじっくり、その人について栄養管理していきたいなって思ったんです。
急性期は確かにスパンが早いですし、さらに長く栄養管理をしたいのであれば。
須佐:施設の方がいいかもしれないって思いました。それと食事の楽しみを重視したいなと思ったので、施設では食事レクリエーションがあるのも大きかったですね。
家族の入院が
病院入職のきっかけに
みなさん新卒で今の職場に入られわけですが、どうやって選ばれましたか。
山仲:もともと平成病院は家の近くにあったので知ってはいたのですが、これまで予防接種で一回行ったことがあるくらいで。
そんなに存在を意識してはいなかったのですね。
山仲:そうなんです。そしたら、大学在学中におじいちゃんとおばが平成病院に入院したんですよ。それでお見舞いや着替えを持って行ってたら、職員さんがみんなフレンドリーで、見学したほかの病院より印象が良くて(笑)。
全員:(笑)。
山仲:「ここで働いたら楽しそうやなあ」って思ったんです。
自身が患者さんの家族として触れることで、とても良い病院だと感じられて。
山仲:今もおじいちゃんが入院してるんですけど、ソーシャルワーカーさんが「今おじいちゃんこんなんやで」とか、担当してる管理栄養士さんが「おじいちゃん今食事こんなんやで」とか、けっこう言ってくれて。そういうのを聞くと「ここで良かったな」って思います。
今もそうやって接してくれるって素敵ですね。渡邉さんはいかがですか。
渡邉:僕はとりあえずいろんな病院の説明会に行って、話を聞いて決めました。
ちなみに病院に就職するのは珍しいというお話でしたけど、専門学校の先生たちにその希望を伝えた時はどんなリアクションでしたか。
渡邉:「いいんじゃないかな〜」って。
全員:(笑)。
どういうことですか(笑)。
渡邉:もちろん前向きなニュアンスですよ。調理師はレストランやホテルが就職先として多いんですけど、激務な職場もなかにはあって、すぐ辞めちゃう人もいるので。働きやすいところで長く調理師を続けてほしいっていう気持ちがあったんだと思います。
いろいろな病院のお話を聞いたうえで、緑成会整育園に決められたのはどうしてでしょう。
渡邉:緑成会整育園のように、重症心身障害の方が入られているところでは、どんな食事を食べているんだろうって気になったんです。実際、一般的な病院よりも食事の分類がもっと多くて、これは噛み砕けないとか、これくらいなら飲み込めるとか、分類のグラデーションが細かいんです。せっかく取り組むなら難しいところに挑戦してみたいなと思って、入職を決めました。
積極的な理由で選ばれたのですね。
渡邉:最近も、管理栄養士さんが「食形態をもっと変えたい」っていうプレゼンをしていました。今の時点でも細かいんですけど、それをもっと個人個人に合わせて細かくしていこうって。これからさらに良くなっていくんだろうなって思っています。
見学で言われた意外な一言が
入職の決め手に!
見学で言われた意外な一言が 入職の決め手に!
須佐:大学のゼミの先輩がこのグループに何人か就職していて、いろいろ話を聞いたり施設見学に行かせてもらったりして、いいなと思ったんです。以前インタビューにも出ていた堤課長(※)もゼミの先輩で。
ちなみに入職されたケアホーム横浜にも大学の先輩が。
須佐:いえ、そのすぐ隣にあるヴィラ桜ヶ丘に先輩がいて、見学もさせてもらいました。
見学されてみて、どういう点で良さを感じられましたか。
須佐:利用者さんに対して温かく接しているところや、雰囲気の良さですね。あとは栄養部として「勉強して高め合っていこう」という姿勢が印象的でした。
教育体制もありますし、確かに熱心な方が多いですよね。木下さんはどうですか。
木下:まず、泉佐野市は貝塚市の隣なので通いやすいというのがありました。事前に内定をいただいていた病院もあったんですが、近畿地方のどこに配属になるかわからないと言われていたので、家の近くでも探したいなと思っていたら大学の先生が、このグループを教えてくれたんです。
何かつながりがあったのですか。
木下:グループの弥刀介護老人保健施設が、大学の実習先になっていて、担任の先生が「あなたの家の近くにもあのグループの病院があったと思うよ」って言ってくれて。調べたら、岸和田平成病院と泉佐野優人会病院の真ん中にうちがあったんです(笑)。それでとりあえず泉佐野に見学に行ってみたら、その時点で既に楽しくて。
見学が楽しいってとても素敵ですね。
木下:
案内してくれた係長がとても優しかったです。それと、同じ日に看護師さんやリハビリスタッフさんも見学に来てたんですけど、看護師長さんが私の目の前でめっちゃコソコソ喋ってるんですよ。「何喋ってるんやろうな?」って思ってたら突然話しかけられて。
えっ、何と言われたのですか。
木下:「めっちゃ土屋太鳳に似てる」って(笑)。
全員:(笑)。
木下:それで「この病院楽しいな」って思ったので、そのまま受けることにしました(笑)
手作り、直営の現場に感じた魅力
グループ栄養部の取り組み(※)については、何か魅力に感じていたものはありましたか。
木下:調理もできるっていうのがいいなと思いました。委託給食ではなく、ここだと作るところから一連の流れで栄養管理ができるっていうのが良かったです。自前でやるっていうのが珍しいなと思いました。
須佐:私も、委託ではなく直営給食なので、厨房のこともできるっていうのがすごいいいなっていうのと、食事について手作りにこだわっているところもいいと思いました! けど…。
※グループ栄養部の取り組みについてはこちらでご覧いただけます!
けど?
須佐:管理栄養士も入職すると最初は厨房業務から担当するので、同期の管理栄養士は実際そちらをやっているんですけど、私は最初から栄養管理の業務をやることになっていて。
そのパターンもあるんですね!
須佐:そうなんです。私から厨房にいろいろお願いをする、ということはやれているんですけど、直営だからこそ厨房にも関われる、というところはまだ味わえてないです(笑)。
全員:(笑)。
渡邉さんはどうでしたか。
渡邉:みなさんと似ていますが、やっぱり手作りにこだわっているところですね。もともと病院食の味に感激して、作り方が気になったっていうのがあったので、嚥下食(※)も手作りしていると聞いて、けっこう珍しいのかなと思って興味を持ちました。
※嚥下機能が低下した方のため、機能のレベルに合わせて、飲み込みやすいように食形態やとろみなどを調整した食事。
調理師の専門学校で、そこに着目している学生さんって。
渡邉:僕以外は全然いなかったです(笑)。
(笑)。でもすごく貴重な視点ですよね。山仲さんはどうでしたか。
山仲:もともとは家族の入院があって、雰囲気が良かったっていうところが大きかったので、実は取り組み自体はそこまで見ていなくて、入ってから「こういうことしてるんや!」って知っていった感じですね。
まずおじいさんの入院で受けた印象が強かったわけですものね。
人の食事をつい見てしまう… 専門職種になって変わった視点
みなさんそれぞれ資格を得て仕事に就いてみて、日常生活で見え方が変わったことはありますか。
木下:病院に限らず、ご飯食べに行ったときは高齢者の方が食べてるところをジーッと見てしまうことはあります(笑)。見ながら「その食べ方は危ない、むせるで」って。
全員:(笑)。
須佐:私は、親の健康診断の数値とかが気になるようになりましたね(笑)。
(笑)。ちなみにどの辺に注目するんですか。
須佐:コレステロール値とか、数値全般ですね。
木下:わかる! 私も見ます。つい栄養指導したくなりますよね(笑)。
渡邉さんも人の作る料理が気になる、などはありますか。
渡邉:あまり関係ないんですけど、普通の牛乳パックって片側を開けて押し込めば「くの字」になるじゃないですか。でも、病院で使っている牛乳パックが、片側だけ開けても硬いんで両方開けないといけなくて。それで家の牛乳パックも、クセでつい両方開けちゃうんです。
それはちょっと違う話ではありますね(笑)。
渡邉:あと、ラップを切る向きも逆で。
全員:あ〜(うなずく)。
それはみなさんがわかる「あるある」なのですね。
木下:家でつい逆にやっちゃいますね。
山仲:僕は、職場で野菜を切りすぎて、家に帰ると野菜を見るのが嫌になります。「今日もう10kg切ったのに」って。
全員:(笑)。
先輩スタッフとは
祖父母と孫の関係性?!
みなさん、いざ働きだしてみて、どんな印象を受けましたか。
山仲:病院の環境がほんまに働きやすかったです。特にパートさんとの距離感が近いんですよ。孫とか息子みたいに優しく接してくれて。職場で人間関係が楽とか楽しいっていうのは貴重でいいなと思います。
仕事の面ではどうでしたか。
山仲:最初はすることが多くて、全部メモするけど追いつかんくて大変でした。同期に管理栄養士が2人いるんですけど、仕事が終わってから車の中で「今日のこれは、こういうことで合ってる?」って3人で確認したりとかするくらい、最初はバタバタしてました。
渡邉:僕も、入職したらみんな想像以上に優しくて、仕事も「ゆっくり覚えて」って言ってもらえて。調理師として就職したらどこに行っても厳しい環境だろうなと思っていたんで予想外で「みんな天使!」って思いました(笑)。パートさんも全員距離が近いですし、山仲さんの話じゃないですけど、孫みたいに接してくれます。
いい関係性ですね! 木下さんはいかがでしたか。
木下:最初は日勤から始めて、徐々に馴染んでいくんですけど、同期の管理栄養士と一緒に入ることが多かったので、働きやすかったです。最初は厨房業務から始まって、みんな優しかったですし、パートさんもみんな「私のおばあちゃん」っていう感じで(笑)。
孫と祖父祖母の距離感で接されている方が多いですね(笑)。
須佐:私の場合は、もともと要領が悪いからか、最初のうちは大変で。その日やることとして指示出してくださってたことが全然終わらなくて「ん〜、これはどうやったらいいんだろうか」っていうところから始まって。
それはどう対処されましたか。先輩に相談されたりとか。
須佐:最初はあまり相談もできず、ひたすらがんばっていた感じですね。栄養管理のために利用者さんの名前や病態も覚えつつ、書類をワーッて作って、大変でした(笑)。
入職早々でなかなかハードでしたね。
須佐:でもいろいろな人にいろいろなことを聞きまくって、今も本当にみなさんに助けてもらってばっかりです。
1年目の焦り、2年目の余裕
それぞれの仕事の違い
みなさん最近はどのような仕事をされていますか。
渡邉:最初の4カ月くらいは盛り付けと食材の切り込みをしながら、全体の流れを覚えていて、最近やっと調理が始まりました。
始まってみていかがですか。
渡邉:最初は先輩と2人組になって、できないところは先輩がフォローしてくれる、っていう感じだったんですけど。今はほぼほぼ1人でやっていて、もう時間がギリギリですね。でも慣れればできそうではあるので、早くできるようになりたいなと。先輩は段取りが良すぎて3つのことを一気にやってるんですけど、それはまだできないです(笑)。
3つのことは同時に考えられないと(笑)。須佐さんはいかがですか。
須佐:週に1回カンファレンスがあって、それを基準に仕事をしています。カンファレンスで話題にする利用者さんの情報を集めたり、食事を変えていく必要がある利用者さんを提案したり、カンファレンス後にはケアプランを作成するのが主な流れです。さらにカンファレンスで利用者さんのリスクを見直して、そのリスクに応じた支援もしています。
なるほど、新人スタッフの仕事には聞こえないというか、なかなか大変そうですね…。
須佐:その週のカンファレンスを終えても、すぐ次の週が来るので大変ではあります(笑)。
山仲さんは2年目になりますが、どのような感じですか。
山仲:今は調理全般や、経管栄養剤を詰めたりジュースとかを作ったりっていう補食の作業をやって、日によって人が多い日だったら、余裕があるから発注業務にも回ってもいます。
入職2年目になって変化はありましたか、任されることが増えたとか。
山仲:それはありますね。やることは増えましたけど、慣れてきたからか少し余裕もできたと思います。
同じく2年目の木下さんはどうですか。
木下:病棟業務と、厨房に人が少ない時は調理や下処理の業務に入っています。
病棟業務はどのようなことをされているのでしょうか。
木下:担当している病棟にミールラウンド(※)に行っています。お話しする患者さんの人数が多いわけではないんですけど、お話しする方とは、向こうから呼んでいただけるくらいに仲良くさせてもらっています(笑)。
※患者さんの食の進み具合や好みを伺ったり、必要な栄養がしっかり摂れているかなどを確認したりすること。
距離が近いのですね! どんなことで呼んでいただくのですか。
木下:最初、看護師さんから「〇〇さんが木下さんのこと呼んでるから、時間あるときでいいから来てくれへん?」って言われて「ひょっとして、食事に何かあったのかな…」って思いながら恐る恐る行ったんですよ。そしたら「最近歯の調子がいいから、おかゆじゃなくて普通のご飯食べれそう!」って笑顔で言ってくれて。
全員:(笑)。
ちょっとしたことでも直接伝えようと思ってもらえるのは良いですね。
仕事が楽しい!
新人スタッフが感じるやりがい
実際に専門職として働いてみて感じたやりがいや楽しさを教えてください。
木下:私がいる医療療養病棟は、必ずしもみなさんが口から食事を食べられているわけではないので難しいところもあるのですが、患者さんとはたくさんお話しして、仕事自体は楽しく取り組んでいます。病棟の看護師さんとかともけっこう仲良く和気藹々としていますし、私は小さなことでも「おっ、良かった」って思えるタイプの人なんで(笑)。
前向きでいいですね(笑)。
山仲:僕も仕事に行くのが楽しいです。特に先輩調理師さんと一緒に調理をするのが楽しくて。
どういうところでそれを感じますか。
山仲:仕事のこともいろいろ教えてもらえますし、プライベートの話もできますし(笑)。まだまだではあるんですけど、やっと調理の仕事に慣れてきて、調理師さんと並んで仕事ができるようになってきたので、それはちょっと嬉しくなりますね。
先輩と同じように仕事ができるようになるというのは喜びですよね。須佐さんはどうでしょうか。
須佐:私は、利用者さんと話すことが一番元気をもらえています。施設内をラウンドしていて、食事と関係のないことでも話しかけてくださったり、私が話しかけたことに答えてもらえる時が「この仕事をやってて良かった」って思えるタイミングですね。
ちなみに利用者さんとはどんなお話をされていますか。
須佐:「おいしいよ」っていうことも言ってくださいますし「今日はこんなことした」とか「これからこういうことをする」とか、いろいろですね。どんな話題であっても、会話できるのが楽しいなって思います。
渡邉さんはいかがですか。
渡邉:やっぱり食事のなかで味って本当に大事なところじゃないですか。検食(※)の時に栄養士の人から「渡邉くんおいしかったよ」って言ってもらえると、すんごい嬉しくて。(大きな声で)「ありがとうございます!」って(笑)。
※責任者が、できあがった食事を食べて、異物混入の有無や、加熱・冷却処理の適切さ、一食分の量や味付け、形態などの確認を行うこと。
(笑)。それは嬉しいですね確かに。みなさんも「おいしい」って声に出されていますか。
木下:私は検食をめっちゃ「おいしい〜」って言いながら食べていたら、パートさんに「漏れとるで、心の声」って言われました(笑)。
全員:(笑)。
それぞれの職種の関係性
実際どうですか?
それぞれお互いの職種のことはどう思っていますか。当然お仕事での関わりもたくさんあると思うのですが。
渡邉:うちは調理師と管理栄養士で壁が全然なくて、すごく仲良く接していますね。一般的には調理師と管理栄養士に壁があるっていうこともあるみたいですけど(笑)。
えっ、どうなんですかみなさん。
木下:私のところはそんなことないですよ(笑)。調理師さんも仲良いですし。でもめっちゃ年上の方であっても、必要があれば指摘したりお願いしたりすることもあるので、そういう時は難しいな、と思う時もありますけど。
逆に、調理師さん側から提案されることもあるのでしょうか。
渡邉:うちはお互いフラットに何でも言える関係性ですね。
須佐:私のところでも、調理師さんから「こうしたらいいんじゃない」って提案を言っていただけていますね。
どこも風通しがいいのですね。
山仲:うちだけじゃないと思うんですけど、管理栄養士さんは入ったらまず厨房の業務を半年くらい経て、仲良くなってから栄養管理の仕事に移っていくので、関係性はとてもいいと思います。
最初に関係性が築けるのは大きいですね。施設ではどんな感じですか。須佐さんは厨房業務を経ていないとお話しされていましたが。
須佐:厨房業務を通っていないと、なかなか厨房内のことがわからないので、必要があればその都度「こういうことはできますか」と調理師さんにたくさん相談させてもらっています。最初はなかなか話しかけづらかったりんですけど、最近はもう私がいろいろ言ってくるのもみなさんわかってくださってて(笑)。
調理師さん側も須佐さんが言いに来ることに慣れてこられて(笑)。
須佐:たくさん相談に乗ってくれるようになって、とても話しやすくなってます。
仕事の幅をもっと広げて
さらなる成長を目指す!
では、今後の目標を教えてください!
渡邉:今調理師で早番から遅番まで全部できる人が全員じゃないんです。だから、その全部を完璧にできるようになりたいと思ってます。近いところではそれが目標ですね。
ちなみに調理師のライセンス取得(※)についてはどうですか。
渡邉:いずれは取りたいです。調理補助のパートさんからも「若いんだから、どんどん受けな!」って言われて(笑)。たくさん練習しないといけないので、まずは今の自分の仕事ができるようになったら、取り組んでいきたいと思ってます。
※グループ独自で設けられているライセンス制度。くわしくはこちらのページをご覧ください。
ぜひライセンスを全種類コンプリートしてほしいです。山仲さんはどうですか。
山仲:今は調理の仕事は、早出と日勤の仕事はだいたいできるようになって、唯一ソフトE(※)だけまだ作れていないので、早く作れるようになりたいですね。何を聞かれても現場のことは全部答えられるようになれたらと思っています。あとは管理栄養士と、調理師の資格を取りたいです!
全員:おお〜っ!
※グループ内での介護食の一形態。形はあるが、舌で押しつぶせて嚥下がしやすい柔らかさの食事。
とても積極的ですね!
山仲:実際仕事として調理は楽しいので、調理師は向いているかなとは思っています。それで、さらに管理栄養士の資格が取れたら、現場のことをよりわかったうえで栄養管理にも携われるので、それもいいかなって思ってます。
木下:うちの栄養士さんも、気がついたら調理師の資格を取ってましたよ。
実際に他の現場でも栄養士から資格を取った方がいらっしゃるのですね。須佐さんはどうですか。
須佐:こないだ先輩と面談したときに「須佐さんの来期の目標は、もう少し仕事を早く終えること」って言われたので(笑)。
えっ(笑)。
須佐:なので、今後はもうちょっと効率よく仕事を進められるように、記録の書き方なども工夫して、スムーズに業務を進めていきたいですね。それと、栄養管理についてはもっと利用者さんを全体的にみていきたいです。提案するときに部分的にしかみられてない時もあるので、そこをもっと強化するのが課題だなと思っています。
業務が多くて大変そうですが、そのなかで栄養管理についてもさらに視野を広げていけると良いですね! 木下さんはどうでしょうか。
木下:管理栄養士の資格を取って2年経つので、3年目になったら、NST(栄養サポートチーム)(※)の専門療法士を取れるように勉強し始めたいです。
※Nutrition Support Team。栄養管理を多職種で実施するチーム医療のこと。資格を取得することで、より豊富な知識と実践的な技術を持って、患者さんの栄養サポートを行えるようになる。
管理栄養士としてさらに仕事の幅を広げることになりますね。
木下:あとは摂食・嚥下リハビリにも興味があります。ST(言語聴覚士)さんともよく喋りますし、最近患者さんが食べてる姿をずーっと見てしまうんですよ。なので、ちゃんと摂食・嚥下リハビリの学会に入って勉強して、「摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士」という資格があるので、それも取りたいと思っています!
みなさんかなり意欲的ですね!
栄養部スタッフたちの休日!
では最後にプライベートなことを伺います。みなさん、お休みの日はどう過ごされていますか。
木下:私はジムに行って体を動かしたり、書道をしたりしています。書道は、常に課題や試験の締め切りに追われているので。
いつも書いているのですね! 大変ではないのですか。
木下:書道に関しては全然辛くないです。それと遊びにも行きますよ。仕事以外での友だちや、職場の同期の子とも出かけます。栄養部でバーベキューしたこともあります。
素朴な質問なのですが、栄養系の職種の方が集まった時は、どなたが率先して調理するものですか。
木下:焼肉に行った時は、うちの病院の料理長である柑本さんが(※)私の前でお肉を焼いてくれました(笑)。
とても贅沢な感じがします(笑)。山仲さんはどうですか。
山仲:淡路島は遊ぶところがあんまりなくて、でも休みの前日だったら、栄養課の仲良い管理栄養士のスタッフとかパートさんと飲みに行ってますね。休みの日は映画を見に行くために、徳島まで車で出かけることもありますし、あとは気が向いたときにお菓子を作ってます。
お〜っ、どんなものを作るのですか。
山仲:簡単にチーズケーキとかタルトとか。あとは焼いたらできるようなプリンとか。家族だけで食べきれない時は、けっこう親戚が仲良いんで、親戚の家まで持って行ったりとか。
親戚の方が羨ましいですね〜。渡邉さんはどうしていますか。
渡邉:家にいることが多いですね。映画を見たりして、だいぶのんびり過ごしてます。家がめちゃめちゃ好きです。
(笑)。家では料理しないのですか。
渡邉:あまりしないですし、家族からも特に「作って」とも言われないですね。
ちなみに、ここ一番っていうときに作る「勝負料理」みたいなものはあるんですか。
渡邉:「白和え」ですかね。
全員:(笑)。
渋いですね(笑)。須佐さんはどうでしょう。
須佐:私は、基本的にはバレエの稽古に行って、踊ってストレス発散をしてます。ずっとパソコン作業をしていると凝り固まっちゃうので、伸ばして動いて。
すごく優雅なストレス発散ですね〜。
須佐:この先も、ずっと踊り続けていきたいなって思っています。例え趣味程度でもいいので、これからも続けていきたいです。
人生を通して続ける趣味って素敵です! じゃあ最後に、栄養部らしく好きな食べ物を聞いて終わります。
木下:私、ビールめっちゃ好きです。
銘柄は何が好きですか。
木下:スーパードライですね。
一緒に何か食べるなら何がベストですか。今の気分で決めていただいていいですよ。
木下:ん〜いつも何食べてるだろう、私。じゃあ、出汁巻です(笑)!
山仲:僕もお酒が好きですね。日本酒も好きですし、ビールも好きです。
特にこれが好きっていうものはありますか。
山仲:スーパードライか、コロナビールが好きです。
木下:へ〜っ!
ちょっとおしゃれですね。一緒に食べるとしたら。
山仲:う〜ん、無難に唐揚げです(笑)。
須佐:私は、決めるのなかなか難しいですけど、みかんがすごい好きで、今の時期はみかんが家にいっぱいあるので、1日にたくさん食べています。
何みかんがいい、っていう好みはありますか。
須佐:いつも食べているのは、親戚が送ってくれている、何てことのないみかんなんですけど。
全員:(笑)。
須佐:私は酸っぱいみかんがすごい好きなんですけど、送ってくれるみかんが比較的酸っぱくて、家族があまり食べないので、私がいっぱい食べられるっていう(笑)。
理由が独特ですね(笑)。渡邉さんはどうでしょう。
渡邉:僕は韓国海苔がすごく好きで(笑)。昨日ちょうど休みで、コストコに行ったんですよ。韓国海苔のすごいでっかいやつ2つ買っちゃいました。
(笑)。1人で食べられるんですか。
渡邉:そうです! 全部僕のものなんで。
全員:(笑)。
プロフィール
泉佐野優人会病院
木下 由子
【出身】大阪府貝塚市
【職種】管理栄養士
【趣味】旅行、書道(九段)
【好きなお酒とつまみ】ビールと出汁巻き卵
平成病院
山仲 秀樹
【出身】兵庫県南あわじ市
【職種】栄養士
【趣味】お菓子作り(チーズケーキやタルトなど)
【好きなお酒とおつまみ】ビールと唐揚げ
緑成会整育園
渡邉 将希
【出身】東京都青梅市
【職種】調理師
【得意料理】白和え
【好きな食べ物】コストコの韓国海苔
ケアホーム横浜
須佐 彩花
【出身】神奈川県横浜市
【職種】管理栄養士
【趣味】バレエ(一生踊り続けたい)
【好きな食べ物】比較的酸っぱいみかん