激しい厨房での業務を経て栄養管理の現場へ!大変な時期も経たけれど今は「仕事が好き」/ケアホーム三浦 管理栄養士/角田 幸恵さん
激しい厨房での業務を経て栄養管理の現場へ!
大変な時期も経たけれど今は「仕事が好き」
ケアホーム三浦で管理栄養士を務める角田幸恵さん。調理師さんの気持ちがわかる管理栄養士を目指し、修行期間として厨房業務での激務を経験した角田さん。そんな現場での大変なお仕事のエピソードや、管理栄養士を目指すきっかけにもつながる、厳しいお母さんとのお話などをお伺いしています。ぜひご覧ください!
厳しかったお母さんに感謝
管理栄養士を目指すきっかけは貧血気味の体質
今日はよろしくお願いします。緊張されてますか?
はい、緊張しいなので。しかも、いきなり指名いただいたので「恐縮です!」みたいな感じで驚きました。
そうだったんですね! ぜひ気楽にお話しいただければ。
編集能力に期待します(笑)。
(笑)。ご出身はどちらですか。
茨城県の結城市というところです。大学進学で神奈川に出るまで住んでました。
どんなところですか。
結城紬っていう織物が有名ですね。私はあんまりくわしくないんですが。あとは、全然バスも通らず、タクシーも呼ばないと来ないようなところでした。電車も2両編成のが1時間に1本くらいしか来ないですし。
車がないと大変そうですね。
私が行った高校が隣の下館市にあったんですけど、家から駅まで自転車で7km走って、そこから電車で下館まで行って、さらに下館駅に置いてある自転車にまた乗って…1時間半くらいかけて登校していました。でも田舎だからそれが普通でしたし、今となってはネタにしてます(笑)。
みなさんそうやって通っていたわけですしね。どんな幼少期を過ごしましたか。
母親が教育熱心で厳しかったです。学校から帰ってきて、母親が帰ってくる18時までに家事をやっておかないと怒られていましたね。お米を研いで、洗濯物を取り込んでたたんで、掃除機とモップをかけて…。
モップまで! でも大人になってから、家事を面倒くさがらずやれるようになる気もします。
今も体に残ってますね。でも当時は「将来役立つから」って言われても、何のこっちゃって感じで。今子どもが3人いて、自分はそんな風に言うようになりたくないなーと思っていますけど、そのうち言ってしまいそうですね(笑)。
まだお子さんには言ってないんですね。学生時代は何か部活などやっていましたか。
中学は卓球部で、高校が弓道部でした。高校は「この高校の弓道部に入りたい!」って決めてました。袴姿がかっこいいなと思ったんですね。
部活が高校の決め手になったんですね。
あとは、近所の高校は当時ちょっとヤンチャな人が多くて(笑)。
(笑)。角田さんはそういう方面には全然縁がなく?
自分で言うのもあれですけど、超真面目なタイプでしたから。高校も推薦で行きましたし。お母さんが絶対で、怖かったですね。でも結果的に悪い方向にいかなかったので良かったですし、感謝しています。
けっこうガチガチに厳しかったんですね。弓道部は楽しかったですか。
楽しかったですし、今でも付き合いがあるくらい仲が良いです。
管理栄養士を目指したきっかけはどんなことでしたか。
高校卒業後に何をやろうかなって思っていたところ、また母親から「資格は絶対だから、取っておきなさい」って言われて。母親自身は資格を持っていなかったので、何か思うところがあったのかもしれないですけど。いろいろ調べた結果、管理栄養士にたどり着きました。
さまざまな資格があるなかで、なぜ管理栄養士だったのでしょう。
もともと食べることが好きだったのと、貧血で朝礼や運動会でよく倒れる子って1人はいるじゃないですか。私がその1人だったんですね(笑)。当時は肉が嫌いで偏食気味で、その影響もあるのかなと思って、食に興味を持ち始めて。そこで管理栄養士という資格を知って、資格が取れる大学を探して進学しました。
更衣室で寝ていた
激務だった厨房時代
大学の授業はいかがでしたか。
レポートが頻繁で、この日にちまでにこれを提出するっていう、優先順位を組み立てるのが大変で。月曜から金曜まで、1限から5、6限までみっちり授業でしたね。
ちなみに就職先は企業や給食の現場など、選択肢があるかとは思うんですけど、もともと病院や介護施設を考えていたのですか。
実は企業も受けたんですけど、落ちました(笑)。就職について大学の先生に相談した時に「病院や介護施設の厨房を委託で請け負う企業で経験を積んでおくといいよ」って言われたことが印象に残ったんです。
どういう点が印象的だったのでしょう。
委託の現場では厨房の業務に多く関わるので、働き方が調理師さんとほぼ同じになるんですね。管理栄養士は、いずれは調理師さんに仕事の指示をする立場にもなるので、調理の経験があることで、調理師さんの気持ちもわかる管理栄養士になれると。なので、卒業したらまず厨房で経験を積もうと考えました。
ちなみに委託業務というのは、どういったところまで請け負うのですか。
各病院・施設の厨房に、当時の私たちのような外部の企業スタッフが入って、業務を請け負うんですが、どこまでやるかは現場ごとで違っていますね。献立は病院・施設側が考えて、こちらはその通りに作る、という時もあれば、献立から委託側が作る、というパターンもありました。
角田さんはどんなところで働かれましたか。
病院と老健の現場で働きましたよ。早番も遅番もどちらもこなしてましたけど、遅番の翌日は早番に必ず入るので、いつも泊まり込んでいました。
厨房の早番は朝とても早いですもんね。仮眠室みたいなものがあったんですか。
いや、みんなが着替える更衣室で寝ていました(笑)。
えーっ! その環境で泊まるんですか。
でも私が経験した現場は病院も老健もどちらもそうでしたね。その時は何の疑問も持たずにやっていましたけど、けっこう体力勝負な職場でしたね。
基本的にどんなお仕事をされていたんですか。
ほとんどは厨房での業務です。私は経験しませんでしたけど、献立も依頼されている職場だと、もちろんそれも管理栄養士が担当します。
体力勝負ということで、相当大変だったんじゃないですか。
でも楽しかったですよ。本当に大量調理だったので、みんなで決められた時間までに仕上げるために、組み立てながら進めるのは好きでした。
厨房の方の仕事を調理コンクールや取材でもたまに見る機会があるんですけど、すごい手際だなあといつも思います。
そういう働き方を先輩方に仕込まれるんです。1日の流れを事前に細かく予習をしてから入って、ここから食器を取って、この間に洗い物をして、次はこれをやる、っていうのを毎日やって。本当に下積みみたいな感じで最初は怒られるんですけど、1年2年とやっていくうちに、先輩が言ってるのはこういうことなんだなっていうことがどんどんわかってきました。
次第にどんどんその手際が身についてくるんですね。実際にはどのくらいの期間働かれていたんですか。
自分のなかで、3年は修行期間として働こうと決めてました。結局、体を壊しちゃったのもあって、3年働いてほかの職場に移りました。朝早かったり夜遅かったりもするんで、疲れちゃったんでしょうね。そろそろ3年経つので、介護施設で働きたいな、と思っていたら、タイミングよく老健に就職できたんです。
最初は恥ずかしかった
老健での栄養管理の仕事
介護施設で働きたいと思われていたのはどうしてだったんですか。
前職がそんな働き方だったので、もし結婚や妊娠をしたらずっとは続けられないだろうなと思っていましたし、3年間厨房のことを学んだので、これからは管理栄養士の資格を生かして、栄養管理とか利用者さんと関わることをしていきたいなって。
栄養管理についていろいろ学んだことを、施設で生かそうと。実際に働いてみていかがでしたか。
厨房業務を委託先にお任せできたので、私はシンプルに栄養管理に集中できて良かったです。この利用者さんの食形態は合っているかな、とか、ちゃんと食べれているかな、とか。利用者さんやご家族と直接お話しすることができるのも新鮮でした。
それまでは厨房から出る機会っていうのは。
ほとんどなかったです。なのでどんな人が食べているかがわからないまま、指示の通り、この食形態で作る、っていう感じで。でも自分が施設の管理栄養士になってからは、どんな理由でこの食形態にするっていうのがわかるので、そういった背景も厨房に伝えていきました。
3年間の厨房業務の経験は生かせましたか。
やっぱり、厨房でどこまで対応ができるかっていうのが大体わかりますから、調理師さんとの調整もしやすかったですね。作業的に難しいという声があった時に「じゃあこうやってみたらどうでしょう」と提案できますから。コミュニケーションは大事なので、世間話もしてましたし。風通しはいい職場でした。向こうが気を使ってくれてたのかもしれないですけど(笑)。
(笑)。利用者さんを何人くらい管理されていたんですか。
100人です。ちょうど育休で管理栄養士が休む穴を埋める形で私が入ったんですけど、1年後にその人も戻ってきたので、それからは管理は50人ずつ担当して、空いた時間は施設の事務仕事とか、利用者さんの送迎や添乗をやったりもしていました。
栄養管理以外の仕事をやることもあるんですね。そこではどのくらい働かれましたか。
5年いたんですけど、その間に結婚して、産休も2回取らせてもらったんです。でも結婚を機に三浦に引っ越していたので、通うのに2時間半くらいかかるようになってしまって。
毎日通うにはちょっと離れていますね。
でも楽しくて、いい職場だったんです! 人間関係もすごく良かったですし。
そのくらい遠くなったらすぐ辞めてしまいそうですけど、いい職場だったので続けたかったのですね。
でもさすがに大変でした。子どもが朝起きる頃にはもう私は家を出ていて、帰ってからも触れ合う時間がちょっとしかなかったですし。どうしようかと悩んでいたところに、ちょうどケアホーム三浦がオープンするという話を知ったので、説明会に参加してみようかなと。
サンマの処理が終わらない…
オープン当初のバタバタを振り返る
施設がオープンするタイミングで入職されたんですね。印象はどうでしたか。
「ああ直営かあ」って思ったのを覚えてます(笑)。
それはどういう意味ですか(笑)。
前の職場では厨房業務を委託していましたけど、厨房も施設が手がける、いわゆる直営はやったことがなかったんですね。
経験がなかったので懸念していたところがあったと。
施設の管理栄養士の目線で言えば、委託だと「厨房でできるのはここまで」という線引きがあるんですが、直営だとその線引きがないわけです。なので、何かを改善したり、新しいことをする場合は、直営の方が向いていると言えます。それぞれメリットデメリットはあると思うんですけど、実際直営で働いてみると、厨房と柔軟に連携が取りやすいのは良かったですね。
そういう違いがあるんですね。オープン当初は慌しそうですが、いかがでしたか。
きっとこれくらいバタつくだろうなっていうのは想像していました。今も一緒に働いてる同僚も同時に入職したんですけど、新卒なのにすごいハイスペックで本当に助かりましたね。ただ、しばらくは本当に大変でした(笑)。
一番大変だった頃の印象深いエピソードはありますか。
翌日のお昼に出すサンマが生で納品された時があって、その下処理はすべて厨房でするんです。でも、たまたまこういう施設の大量調理に慣れているスタッフさんがいない日に当たって、なかなか時間がかかってしまい。私も手伝いに入ったんですけど、その処理が延々終わらなかった…っていうのが一番大変だった思い出です(笑)。
大量のサンマと格闘されて(笑)。
手が空いた調理師さんにも手伝ってもらって、サンマを開きながら「あ、これ心臓だね」とか会話をしながら(笑)。無事に提供できたので良かったですが。今はもうそんなことは起きないですね。
忙しさを理由に辞めないように
今は割と施設の栄養課は落ち着いているんですね。
ここ何年かで一番落ち着いてると思います。去年3人目の子どもを産むために産休に入っていたんですけど、その前に人員体制も整えることができました。
どういうことをされたのですか。
当時は厨房のパートさんが本当に忙しかったんです。施設も開設して年数が経つと、利用者さんもその分歳をとられて、それにつれて食事の形態も、最初は10人くらいしかいなかった軟飯やソフトE(※)の方が、2倍3倍と増えていくんです。その食事を盛る作業はパートさんが担当するので、人員は変わらないのに、作業量だけが増えていくことになって。
なるほど、年数が経つと、そういうポイントで業務量が変わってくるのですね。
これからもそうなっていくことが予想できましたし、仕事が大変だと辞めてしまうパートさんも多くて。忙しさを理由に辞めてしまうのは残念ですし、人員を増やしてもらおうと思って。ちゃんと提案を行って、了承してもらいました。無事に採用もできましたし、教育もしっかりとして、それからは離職はなくなりました。
ケアホーム三浦に移ってからも産休を取られて、復帰もされたのですね。
去年の8月に生まれて、もともとは4月に保育園に入れて職場復帰するつもりだったんです。それが新型コロナウイルスの影響で、保育園のスタートが6月からになりました。
では当初の希望より2カ月遅れて職場復帰をされたと。本来はそもそも育休は基本的に1年間は取れるわけですよね。
そうですね。ただ、4月入園で申し込んだ方が保育園も入りやすいというのがあったのと、仕事が好きなんで、なるべく早く戻りたかったんですよね(笑)。
なるほど、ご自身の希望だったんですね(笑)。
今は時短勤務なんですけど、家族とも相談しながら、いずれはフルタイムにも戻していって。旦那さんもそうですし、一緒に住むおじいちゃんおばあちゃんの協力もあってのことですね。
グループの制度としては、時短勤務を延長することもできるんですよね。
時短勤務の期間は、小学生いっぱいに伸ばせるようになっていますね。私が休んでる間に、周りがすごく気を使ってカバーしてくれたので、もし誰か育休に入ることがあれば、今度は私がサポートしたいと思っています。
利用者さんへの声かけも
管理栄養士の大事な仕事
ちなみにケアホーム三浦に、管理栄養士さんは今は何人いますか。
3人います。私が産休に入ってる間に1人入ってくれて、今は1人1フロアずつ担当しています。産休中はグループ栄養部からヘルプの方も来てくれて、そういうところはグループの強みですね。
普段は具体的にどんな仕事をされていますか。
私は1階に入所されている方を担当しているんですが、主にはモニタリング、ミールラウンド、プラン作成を行っています。
「モニタリング」というのはどんな業務ですか。
利用者さん一人ひとりに対して立てた栄養プランに対して、実際の食事摂取量や体重の増減をチェックする業務ですね。基本的にプランは3カ月に一度更新で、状態が良い方はそのペースで問題ないんですが、ちょっとリスクがある方は1カ月、さらにリスクが高い方は2週間単位で見直す必要があるので、モニタリングして確認していきます。
なるほど、定期的に見直しが必要なんですね。
そのほかは日々納品があるのでそれがスムーズにできるように準備もして。厨房のここが不備があると聞いたら営繕さんに取り次いで、修理をお願いするとか、調整役も多いです。その日の献立で、利用者さんや介護士さんから要望があった場合、必要があればグループの献立係に連絡をしたり。
ミールラウンドということは、利用者さんのところも回られるんですね。
もちろん行きます。大体お昼がメインになりますね。朝9時に朝礼があるんですけど、申し送りで「この利用者さんが夕飯を食べられてない」とか「水分がこれだけしか摂れてない」といった情報が共有されるので、そういう方の元にお昼に行って、ご本人や介護士さんからお話を聞いてます。
食べる様子も見られて。
「どうですか〜。お変わりないですか?」って聞きながら見てますね。逆に利用者さんや介護士さんからも声かけて相談されることもありますよ。必要であれば持ち帰って、調理師さんと話してます。
この仕事を始めた頃から、利用者さんとコミュニケーションを取ることは抵抗なくできましたか。
老健で仕事を始めた10年前は恥ずかしがり屋でした(笑)。最初はどうやって利用者さんとお話すればいいかわからなかったですし、遠くで見守っていましたね。今は時間が空いたらなるべく利用者さんのところに行くようにしています。
極端な話、デスクだけで仕事を済まそうと思えばできるとも言えますか。
ただやるだけならそれでもできちゃいます。現場に電話して「どう?」って(笑)。でもやっぱり実際に利用者さんを見て感じることがありますし、行ったからこそ聞ける情報もありますから。機械的にやろうと思えばできるんでしょうけど、私はなるべく現場に行って話を聞いて、っていうスタイルでいようかなって思っています。
角田さん以外の管理栄養士さんお2人もそんな感じですか。
一番新しく入ってきた管理栄養士さんは私と同じで委託会社からの転職なんですけど、まだちょっと恥ずかしがってる感じがあって、そこも10年前の私と同じだなって(笑)。
醍醐味は、多職種で協力しながら
利用者さんを良くしていくこと
管理栄養士さんはいろんなところで働く機会があると思いますけど、こういった介護施設で働くことは、どんな魅力ややりがいがあると思いますか。
やっぱり1人でできる仕事じゃないので、いろんな職種がいて、初めて利用者さんが良くなったり、回復に向かったり、っていうのが、目に見えてわかる仕事だと思っています。ここは利用者さんが生活をしていく場なので、時間をかけて関わっていけますし、他職種と協力して、同じ方向に向かって支援していける楽しさは感じています。
良い状態で暮らしてもらうために、みんなで協力していくところに醍醐味があるんですね。
最近、全然ご飯を食べられなくなってしまった利用者さんがいて。もともと嚥下機能が良くなくて、ソフトEの食事だったんですが、それでも本当に食べられなくなって、体重も減ってしまっていました。
食事ができないことで、目に見えて状態が悪くなってしまっていたと。
みんなで話し合ったんですが、看護師さんが「じゃあもう、3食とも食事介助にしましょう」って提案してくれて。それで介護士さんが食事介助を毎食してくれているうちに、げっそりしていた頬が、みるみる戻ってきたんです。
すごい! それまでは自分で食べるが辛かったんですかね。
食べることに疲れてしまって、食べようとしても食べこぼしてほとんど食べられてなかったんです。薬とかに頼る解決方法じゃなく、出された食事をちゃんと食べるっていうことで解決できて、それもみんなの協力でっていうところが嬉しかったです。
コロナ禍でもユニットごとで楽しめる
「食レク」が大好評
ケアホーム三浦は関東のグループ施設のなかではケーキバイキングが有名で、グループのスタッフも見学に来ると伺っています。
元パティシエが厨房にいるので、その技術とか知識が大きいと思います。今年は施設の秋祭りができないので、ユニットごとでおやつバイキングを、秋祭りの一環としてやっていますよ。
大々的にお祭りができない代わりなんですね。
それと、今まではレクリエーションの時間に、歌や演奏などを披露してくれる外部のボランティアさんがいらしてたんですが、それもできなくなってしまったので、食レク(食事にまつわるレクリエーション)の実施が増えています。
なるほど、施設内のスタッフさんでできるレクリエーションということで、そういった食レクの需要が高まっていると。
おやつや食事系のレクリエーションは喜んでもらいやすいです。それプラス、誕生日の利用者さんがいるユニットにはムースケーキを作るっていうのをやっています。季節に応じたケーキを調理師さんが考えて、スポンジから焼いて、毎回違う味になるように作っているんですよ。
さすが、凝っていますね〜。
あと、施設の中庭に農園があって、そこで取れた野菜も食レクに使っています。モロッコインゲンもデザートにしちゃうんですよ。中庭で育てた野菜って言うと、利用者さんもより興味が湧くじゃないですか。バジルやトマトも育ててるので、それを使ってユニットでピザトーストを焼いて提供するとか、いろいろと今はやっています。みなさんからの反応もいいですよ。
好評なんですね! 食レク自体は、どなたが企画されるんですか。
主にリハビリのスタッフさんが企画されて、私たちに話が来ますね。それを受けて、調理師さんとも調整をして、実際にどう進めるか、細かい手順書のようなものを管理栄養士が進めて、実施してもらっています。
いつもの食事に加えてレクリエーション用の食事も作ることになるので、そのための作業時間や手順もしっかり準備しないといけないわけですね。
そこで、誰がどうやるかっていう調整役をしています。厨房との架け橋ですね。
作っている人の顔が見えることの大切さ
みんなが長く働ける職場にしたい
介護施設で働くにはどんなことが大切だと思いますか。
相手を思いやる気持ちですね。自分よがりじゃなくて、みんながいるから仕事が回っていくものなので、本当に一人ひとりを大切に思いながら取り組む必要があるなと思います。
今までの仕事の話を聞いても、うまく連携していかないと回らないですもんね。
調理師さんがいても、パートさんがいなかったら、できたものをよそえないですし、調理師さんがいなかったらもちろんご飯が作れないですし。
お仕事の目標はありますか。
なるべく誰も辞めない、さらに風通しのいい職場を目指したいです。
やっぱり長く働いている方がいることが、施設にとっても利用者さんにとってもいいわけですもんね。
頻繁に入れ替わりがあると、一から仕事を何度も教えて、同じようなミスが増える可能性も高いですし、長く勤めてもらったら、流れも歴史もわかりますから。
結果、利用者さんのためにもサービスの質が向上しますね。何か具体的にやられていることはありますか。
こういう介護施設で働くのが初めての調理師さんもいるので、そういう人には時間をもらって、施設内をいろいろ見てもらったりしてますよ。「こういう方が生活されて、こうやって食べてるから、こんなことに気をつけて欲しいんです」ってお話をしながら。
角田さん自身が、厨房にずっといて、誰に食事を作っているのかわからなかった、という経験も影響しているんでしょうか。
やっぱりそこをわかってもらいたいんですね。顔を思い浮かべながら作った方が、おいしいものができると思いますし、そういう気持ちで作ってほしいなって。利用者さんや、厨房の外のスタッフにも顔を覚えてもらった方がいいですし。だから「交流のために行くよ!」って言って連れて行ってます(笑)。
いつか子どもと一緒に
ランチに行けるのが夢
お休みはどう過ごしてますか。お子さんが3人もいるとやっぱりそちらが中心になりそうですね。
こういう時期なのであまりいろいろなところには行けてないんですけど、海は近いので、散歩しながら磯遊びさせたりしてますね。あとはご飯を作るのがすごく好きでストレス発散になるので、子どもをおじいちゃんおばあちゃんか、旦那さんに見てもらって作ってます。
料理でストレス発散になるってとてもいいですね〜。
大したものを作るわけじゃないですけど(笑)。日々の生活において発散になっていますね。
お子さんが3人もいたら賑やかでしょうね。ちなみにお子さんはおいくつですか。
6歳、4歳の女の子と、1歳の男の子がいて、いつも賑やかで楽しいです。子どもが元気なのが一番ですね。それだけで安心して働けますし。
趣味はありますか。
料理を作るのと、ドラマを見るのが好きですね。
どんなものを見るんですか。
普通にテレビでやってる連続ドラマですね。最近だと『私の家政婦ナギサさん』とか『MIU404』とか。録画しておいたやつを、子どもが寝た後にアイスを食べながら見て。それも気分転換になりますし、毎日の楽しみですね。
いい時間ですね〜。仕事以外で今後目標はありますか。
育児の手が少し離れたら、自分の時間を作りたいですね。前もちょっとやってたんですけど、ヨガをまた始めるとか。あと今はあんまり行けていないですけど、おいしいものを食べに行くのも好きなので。もうちょっと子どもが大きくなったら、一緒にランチに行くっていうのも夢ですね。
一緒に行けたら楽しそうですよね。やっぱりお仕事柄、おいしいものを食べに行くのも好きなんですか。
そうですね。「献立・調理コンクール(※)」のアイデアを考えるときに参考にする時もあります。
毎年開催しているコンクールですが、今年は例年のように集まって、実際に調理をしながらの決勝開催ができなくなってしまって残念ですね。
本当ですよね〜。でも書類審査だけでも開催されるので、ケアホーム三浦でもがんばって考えて出しました。
レシピのテーマが「コロナに負けるな!明るい気分になれる献立」でしたよね。どんなものを出されたんですか。
みんなに楽しんでもらえるようなものにしようということで、調理師さんが「おにぎらず」を提案してくれて、予選は無事に突破できました。
おめでとうございます! このインタビューが公開された後には優勝が決まっているそうなので、結果が楽しみですね。
そうですね!
プロフィール
ケアホーム三浦 管理栄養士
角田 幸恵
つのだ さちえ
【出身】茨城県結城市
【職種】管理栄養士
【趣味】料理、ドラマ鑑賞
【好きな食べ物】チーズハンバーグ、チョコレート
【好きな調理器具】大きなスパテラ
病院情報
介護老人福祉施設 ケアホーム三浦
2017年6月に開設。三浦市の穏やかな自然に囲まれた環境のなか、特別養護老人ホームを中心に、ショートステイ、デイサービス、居宅介護支援事業所のサービスを提供します。光を多く取り入れた明るい施設で、家庭的な雰囲気を大切にしながら、一人ひとりに合わせたきめ細やかな介護を提供いたします。