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意識の低い新人時代から、施設の栄養管理のプロフェッショナルへ グループ栄養部を支える課長のターニングポイントとは!/平成医療福祉グループ 栄養部 課長/堤 亮介さん

栄養部2019.12.13
栄養部

意識の低い新人時代から、施設の栄養管理のプロフェッショナルへ
グループ栄養部を支える課長のターニングポイントとは!

グループの栄養部門で課長を務める堤亮介さん。施設での栄養管理に興味を持ち入職したものの、当初はあまり意識が高くなく、転職することも考えていた、という堤さん。そんな堤さんの意識がガラッと変わり、栄養部の管理者として立つまでの紆余曲折を、赤裸々にお話いただきました。管理栄養士の仕事に興味のある方にもオススメです。ぜひご覧ください!

食べることと運動が好き!
でもバットは借りたまま

ご出身はどちらですか。

生まれは京都です。両親は京都出身でずっと住んでいたんですけど、僕が幼い時に父親の仕事の関係で横浜市に引っ越して、僕はそちらで育ちました。

ちなみにお父さんはどんなお仕事をされていたんですか。

父は大手電気機器メーカーの会社員で、技術者でした。当時はあんまり気にしてなかったんですけど、うちの父親は部長だったらしくて。今になって仕事の話を聞くと、自分が役職ある立場についたからこそ、教育のこととか、大変だったんだろうなって思いました。

小さい頃はどんなことをされていましたか。今の仕事につながるような片鱗があったとかは。

食べること自体はずっと好きでしたよ。あとは運動もずっと好きでした。小学校は野球、中高大学時代はテニス、社会人になってからも野球はやってますよ。最近は行けていないですけど。

草野球的なことですか。

もともと働いていたヴィラ南本宿のスタッフたちを中心にチームを作ったんです。メンバーは変わっても、まだ続いていると思います。チームのバットを借りたままなんですよ(笑)。

それは早く返してあげてください(笑)。

あの頃はそうやって遊びまくっていて、介護士さんに誘われてマラソンもやってましたよ。フルマラソンも走ってて、確か3時間40分台で、4時間切ってましたね。

お〜けっこう早いですね! 今も走れますか。

無理です無理です! 倒れちゃいますね(笑)。

スポーツ栄養学を学びたい
しかしギリギリで過ごした大学時代

管理栄養士を目指したのは、大学に進む段階でしたか。

そうです。あの時はスポーツ栄養学を学びたかったんです。

スポーツ選手の栄養管理ということですか。

なぜそれをやりたかったのかは忘れちゃいましたけど、きっかけはそれでしたね。

大学はどうやって選んだのですか。

当時は指定校推薦で男子が入れる栄養学科があるのが県内では2校だけだったので、そもそも選択肢が少なかったんです。入ったのは、神奈川県立保健福祉大学っていう、当時まだ割と新しい学校でした。ちなみに今はそこの大学院に通ってます。

入ってみていかがでしたか。

だいぶ頭のいい学校で、「チョイスを間違えた」って思うくらい、自分の学力が追いつかなかったです(笑)。

入学してみたら驚いたと(笑)。どんなことを勉強されたのですか。

栄養学でも、特に臨床に力を入れていた学校でしたね。

じゃあ病院で働くことを前提として。

だから人体構造学とか生理学の授業があって、筋肉の名前を覚えてましたよ。栄養学科としては珍しいかもしれないです。

熱心に授業は出ていましたか。

サークルの部室で寝て、授業の終わり際に出席表だけを出したり、二日酔いのまま授業出たり、バイトがあるからと言って帰ったり…。

なるほど…(笑)。

そもそも40人のクラスで男子も4人しかいなかったので、1人いないと絶対バレるんですよ。でもギリギリまで授業はサボっていました。大学の先生からは、今みたいに役職ある立場で働くとは思わなかったって言われますね(笑)。

施設での栄養管理に興味!
先輩の誘いでグループ施設へ

就職先はどのように決められましたか。

最初は企業に進もうかと思っていたのですが、病院や施設での実習を経て「栄養管理がしたい」と思うようになって、そちらで就職先を探しました。

そこでグループの施設に出会われたと。

大学のゼミの先輩が、当時グループのヴィラ南本宿で管理栄養士として働いていて、「うちに入らないか」って紹介してくれたんです。入職後は仕事もしっかり教えてもらえましたし、厨房を始め職場の仲もよかったですし、環境としては恵まれてましたね。

入職した頃の印象的なエピソードはありますか。

最初は管理栄養士も厨房に入って下処理を手伝うんですが、一番初めに入った日にブリをドンっと出されて、「これを一尾さばくのか!」って(笑)。がんばってさばきましたけど、下手くそでしたね〜。

それはだいぶハードです(笑)。管理栄養士も仕事のスタートは厨房からになるのですね。

今も新しく入るスタッフは厨房から入ってもらうようにしてますね。厨房の仕事がわかれば全体の仕事の流れがわかりますし、利用者さんの食形態を変える時に、細かい調整がどこまでできるか、自分で判断が効くようにもなるので。

そこを把握できていれば、調理師さんに無茶なお願いをすることもなくなると。

そういうことですね。100%できなくてもいいので、例えばインフルエンザで調理師さんが休んでしまったときに、代わりに7割くらいのことができればいいよと言っています。でも最初にブリの下処理は、さすがに厳しかったですね(笑)。

今と当時とで環境の違いはありますか。

栄養部が部門として成立したことが一番変わったと思います。それまではグループで組織化されていませんでしたので。

栄養部自体がなかったのですか。

あったんですけど形も少し違っていて、多分人手不足もあってか、今のように方針が全体に行き渡る仕組みになっていなかったと思います。

仕事にやりがいを感じるも…
ぬくぬくと過ごした新人時代

そもそも施設で働くに当たって、どんなことにやりがいを感じられたのでしょうか。

思ったより栄養管理や医療的な知識を求められるということですね。施設では医療的な専門知識を持ったスタッフの数が病院よりも限られるので、管理栄養士の存在がすごく重要で。回診の時に医師と看護師さんと一緒に回ることもありますから。

素人目に見ると、管理栄養士さんがそういう役割も担っているのが意外な感じもします。当たり前のことなのでしょうか。

むしろ当たり前にしようとしています。結局利用者さんの全体を把握するためには、やっていく必要があるんです。自分としても経験しておいて良かったというところなんで、今後も各施設でやっていってほしいと思います。

勉強しなきゃいけないことが想像より多そうですね。初めからそういった意識で仕事をされていたのですか。

いえいえ当初は先輩におんぶに抱っこで楽しく過ごしてました(笑)。仕事はちゃんと教えてもらっていましたけど、そこまで意識も高くなく働いて、飲み会も毎週のようにやり、野球とかバドミントンもして遊んでましたし。

すごく遊んでますね!

本当にそうですね。でも、入職して1年しないうちに、同じ県内にあるグループ施設のヴィラ桜ヶ丘で欠員が出たので異動することになったんです。意識が変わったのはそこからですね。

当初は仕事以外のところに熱を傾けていたけれど。

異動直前にやった最後の大仕事は、グループ忘年会でやる出し物の練習日程の調整でしたから。施設のみんなは優しかったですけど、今考えたらあんな管理栄養士はいらないと思います(笑)。

転職への誘惑を断って成長…
異動によって変わった意識

異動してどのように意識が変わったのですか。

異動先は管理栄養士が僕1人だったので、自ずと責任感を持つようになりましたね。そこで「これはもっと勉強しないとダメだな」と思って、もともと通っていた大学の栄養学科に、社会人でも通えるコースがあったのでそこに通い直しました。そこで大学の先生とも再会して変わっていったんです。

意識が大きく変わるターニングポイントだったのですね。

とは言え、その頃も全然遊んでましたけどね(笑)。毎週土曜日が授業だったんですけど、だいたい金曜日に飲みながら翌日の資料を作って、二日酔いで授業発表したりしてましたから。

えっ、よくそんな状態でも通い続けましたね。

言っていい話なのかわからないですけど、当時は今より管理栄養士の給与形態も低くて。「今後も上がらないよ」と言われていたので…だから実は転職したいという気持ちもあって通ってたんです(笑)。そこで次につながる出会いがあればいいなと思って。

その理由もモチベーションになっていたと(笑)。

実際に、先輩管理栄養士や外部の人たちに会えたのはとても良かったです。病院や特養、市で働いている人などいろいろいて。悩みを話したり、栄養管理の仕方を聞いたりして、自分の中で世界が広がりました。

同業の人と触れ合ってわかることも多かったですか。

それと先生たちから教えられることも多かったです。給料が上がらないからと辞めようとしている僕に対しては「やり方が悪い」と言われました。「職場は自分がただやっただけで評価してもらえるところじゃない。やったことを自分でプレゼンして、評価を受けてから次に進むべきだ」と。

建設的なアドバイスですね。それを受けて意識が変わるまではどうやって働いていたんですか。

単純に管理栄養士として必死に働いてましたね。やってもやっても「状況が変わらないな」っていう認識でした。

1人で利用者さん全員の栄養管理をとにかく一生懸命やられて。

そうですね。栄養管理をやりながら、利用者さんのところに行くのが大事という認識はあったので、よく行って話してました。そっちの方が楽しくて。今も僕のことを覚えていてくれますよ。「久しぶり〜」って声をかけてくれるんです。

素敵ですね〜。その後、学校でアドバイスをもらい、変わっていったのですか。

それと仕事の仕方を施設でいろいろ教わったのも大きかったです。リハビリテーションや介護の責任者に仕事の流れとか人の管理を教えてもらいましたね。あとは社会人としての部分もそうです。当時は口の利き方も悪かったですし、頭ごなしに言ってしまうこともあって、そういうところは施設長に注意されましたね…(苦笑)。

そんな時期もあったのですね!

厨房を改善しようと思って行動したんですが、そんな感じだったので反発も生んでしまって。当時は「利用者さんのため」っていうところが抜け落ちていて、「自分がこうしたい」っていう想いが全面に出てたんだと思います。反省です。

そこから今のような管理職には、どのようになっていったのですか。

学校卒業時に作ったスライドを当時の部長に見せたら「もしよかったら主任にならないか」と言ってくれたんです。その後、栄養本部というものが作られて、徐々にそこから役職が係長、課長と上がっていきました。

栄養部が組織化されていくのとともに、堤さんの立場も変わって行かれたのですね。

今は、グループの副代表が部長をしていて、そこに自由に動ける課長が僕ともう一人いて、エリア担当も置けるようになりました。グループ栄養部として組織で動けるようになって、方針も全体に行き渡るようになったので、そこは以前より良くなったと思います。

立ち上げや企画など
管理職として打ち込むお仕事

今はどんなお仕事がメインですか。

新規開設する施設の立ち上げと、立ち上げ後のフォローアップに関わる仕事が大きいですね。ちょうど今は、2019年6月に開設されたケアホーム板橋と、2020年の春頃に開設予定のケアホーム葛飾の仕事をどちらもやっています。

立ち上げというのはどのように関わるのでしょうか。

施設の厨房の設計に携わったり、使う器具や機材の選定、実際の運用におけるルールやマニュアル作成を行っています。

ルールなどは施設ごとに違うのですか。

基本はグループ統一では設定しています。ただ施設ごとに使う器具や構造は違うので、それに合わせて微調整をする必要があるんです。

そのほかにどんなことを行っていますか。

企画業務課の課長として、今までの取り組みを見直して、必要があればアップデートを行っています。例えば食事形態とか付加食のマニュアルを作り直したり、新しい取り組みを始めてみたり。年に一度の献立・調理コンクールも業務企画課の仕事ですね。

それぞれに、堤さんは実際どのくらい携わるのですか。

主導してくれるスタッフを立てて、僕は補佐をしています。やる気があるスタッフにはどんどん任せたいなと思っているんです。

チャンスがあるのはいいですね。そういったやる気のある方は出てきますか。

出てくることもありますし、こちらから「こういうことをやらない?」って声をかけることもあります。今だと「サバイバルフーズ」について、台風などで実際に被災を受けた病院・施設のスタッフが積極的に取り組んでくれています。

周りのスタッフの方にも恵まれていますね。

入職した頃からいろんな人に助けられてますし、そういう運はすごく良かったです。人が辞めて大変なときもありましたけど、そのあと入ってくれた人がすごく良かったとか。そういう人たちがいたからこそなんとかやれてるんじゃないかなって気がしますね。

吸引機を準備しながらお寿司を提供?!
正しさだけが全てではない施設での栄養管理

施設での栄養管理ではどんなことが大切になりますか。

栄養面で正しいことだけが必ずしも正解ではない、ということですね。施設は家みたいなものなので、楽しく暮らしてもらうためには、栄養的な正しさだけが求められるわけではないんです。例えば咀嚼力が弱くて通常の硬さのご飯を食べられない利用者さんが「どうしても寿司が食べたい」って訴えてこられることもあるんですよ。ST(言語聴覚士)の評価ではソフト食しか食べてはいけない状態なのに。

ご本人としては「どうしても」という想いが強いのですね。そういう時はどうされるのですか。

その時は、僕と看護師さんが横で吸引機を持って待機したうえで、ご本人には食べてもらいました(笑)。

えーっ、大胆ですね(笑)!

でもそれで実際に食べられたんですよ! もちろん、事前にご家族やケアマネジャーと相談したり、カンファレンスでも相談したり、準備は徹底しますよ。

安全面や健康面は事前に考慮されてからと。そういうことはよくあるのでしょうか。

よくあるのは、糖尿病があるので普段は制限されているけど、レクリエーションのおやつバイキングではケーキを食べてもらおう、とかですね。やっぱり行事の時に1人だけ食べられないって本当にかわいそうなんですよ。だから事前に医師にも確認して、OKを取ったうえで食べてもらって。

特に施設は生活の場だと思うと、食事は楽しみとして大きそうですね。

正しい数値とか、体に最も良いとされる方法は、長生きするためにはいいかもしれないんですが、その長生きの仕方が、その人にとってはベストではないのかもしれない。だから、その方の楽しみを一番健康的な方法で提供できたらいいんじゃないかなって。

これは、施設の栄養管理としてポピュラーな考え方なのですか。

どうなんでしょう。どちらかといえばそういう色合いは強いかもしれません。みんな悩み悩みやっている部分ですね。しかも何をやっても正解がないのが施設の栄養管理なので。間違っていることが実は正解っていうのが有り得るのが難しいところです。

そう考えると、本当に利用者さんとしっかり関わらないと務まらないですね。

利用者さんの近くにいることが大切です。施設で栄養管理するスタッフは、ユニットの近くで仕事ができるように、パソコンも持ち運べるノート型にして、環境だけでも揃えようとしています。

栄養科の部屋での仕事だけではなく、ちゃんと近くで仕事をして。

新施設の図面を考える時も、栄養科の部屋は、管理栄養士が外に出やすく、他部署の人が入ってきやすいよう、設計をお願いしています。もしそういう仕組みになってなくても、スタッフががんばって取り組んでカバーしてくれているところもあるんですけど、できることならば、そういう環境にしてあげたいなと思っています。

利用者さんの健康のために
管理栄養士は一生勉強

管理者として、スタッフへの指導でよく伝えていることはありますか。

「専門職種になったからには、死ぬまで勉強」ってよく言ってます。個々の能力に差があるのはある程度は仕方ないですが、ユニットを担当する管理栄養士さんによってケアに差が出てしまうと、利用者さんに不利益じゃないですか。だからこそ、努力は怠らないでほしいです。

ちなみにどういう差が出るものですか。

経験によって引き出しの数が全然違います。例えば、食事が食べられなくて低栄養になっている利用者さんに対しては、経験が少ないと、高エネルギーのジュースや栄養剤をとりあえずつける、という発想になりがちです。でも、引き出しのあるスタッフなら、まず利用者さんの話をしっかり聞き、なぜ食べられないのかを探ります。もし「ご飯が硬い」と言われれば「じゃあ軟飯にしたら食べられるかもしれないですね」と提案ができる。

食べやすい形態にして食べてもらうことで、エネルギー摂取量も上がると。

どうしたら食べてもらえるか考えるわけですね。もし、医師に確認して塩分摂取量に問題がなければ、さらに佃煮をつけてみる、あとは間食でゼリーを出すとか、夜にホットミルクを飲んでもらうとか、方法はたくさんある。大事なのは、それをいかに生活リズムのなかに落とし込んでいけるか。そこまで視野が広げられるかどうかで、差が出やすいかもしれないですね。

管理栄養士さんの違いが、利用者さんの健康状態にも関わってくる。

大きいですね。病院では、食べてもらうことが治療でもあるので、そのなかでの栄養管理が正しいわけです。でも施設では、どんな形でもいいから1日の生活のなかで良くしてあげればいいことなので、いろいろな方法を提案できるかどうかで差が出ます。あとは、介護士さんとのやりとりも大事になってきます。介護士さんはみんな忙しいので、そのなかでできる範囲も考える必要があるんです。

思った以上に管理栄養士さんの役割が重要ですね。

だからこそ、しっかりとした栄養管理をするために、以前は利用者さん100人に対して管理栄養士1人の配置だったのを、基本的に50人に対して1人の配置にしてもらっています。

ちなみに、管理者になってから現場の仕事が恋しいという話もよく聞きますけど、堤さんはいかがでしたか。

僕は、やりがいもあるし、意外と管理者も気に入っています。お給料も上がりましたし(笑)。でもそれで言うと、今は栄養部全体の給与形態もだいぶ見直しがされていますよ。

どういった経緯でそうなったのですか。

もう1人の課長と一緒に提案したんです。ストレートに「上げていかないと世の中やってけないです」って、部長にお願いして(笑)。もちろんそれに必要なデータを色々調べたり、現在の求人状況も調べて。特に調理師さんは以前とけっこう変わりましたね。

調理師さんで言えば、グループオリジナルのライセンス制度(※)があるのも珍しいですよね。

調理技術の向上を図ると同時に、調理師さんを外から評価できる体制を作ろうということで導入されました。ライセンス取得者には手当てが付きますので、研鑽とともに意欲の向上につながっていると思います。ライセンス試験の項目は普段の調理に関わる内容ですし、日々の業務で質向上につながることを目指しています。

※グループ独自で設けられているライセンス制度。くわしくはこちらのページをご覧ください。

献立・調理コンクール、Instagram
栄養部を活性化するさまざまな取り組み!

グループ栄養部の取り組みとしては献立・調理コンクール(※)はとても特長的ですよね。

一般の企業では開催しているところもあるかもしれませんね。ある程度の規模でできるのは、グループならではかもしれないです。以前から開催されていたのですが、僕が企画業務課に入った時くらいから、段々と今のような形になりましたね。

※毎年10月頃、グループの献立・調理の質向上を目的に、各病院・施設の代表者がオリジナルの献立で腕を競うコンクール。実際の様子はグループのInstagramでご覧いただけます。

各病院・施設がテーマに沿ったメニューを書類で提案する予選を経て、決勝ではそのメニューを審査員の前で一斉に調理すると。大会としてけっこう見応えがありますよね。

やりたいことを盛り込むうちに、気づいたら派手になったっていう感じですかね。それに連れて大変さも増しましたけど(笑)。

(笑)。個人的には毎年楽しみにしているのですが、栄養部のスタッフからすると、出場はモチベーションになっているのでしょうか。

それぞれですね。毎年予選には全国から50献立以上の提出があるのですが、なかにはプレッシャーに感じるところもあれば、忙しくて大変というところもあると思います。ただ、1回でも決勝に出て評価されると、やっぱりやる気が出て、その後も前向きに取り組めるようになるみたいです。

実際、どういったところが評価されやすいのでしょうか。

予選に関しては書類審査なので、アイデアの良さや写真のきれいさはもちろん、今年感じたのは、献立の組み合わせとか食材の使い方とか、バランス良くできている施設は評価が高かったと思います。普段使うような食材を用いて、実際に無理なく献立として大量調理ができるというところまで検討できているということですね。

入賞メニューは実際にグループの病院・施設で提供されますからね。ちなみに決勝はどうやって評価が決まるんでしょうか。

決勝ともなるとレベルが高いので、みんな悩みながら審査していますが、不思議と毎年、1位だけはちゃんと評価が集中するんです。そこは調理師さんの腕なのかもしれないですね。ライセンスを持っている調理師さんのチームは作業も片付け早くて調理台もきれいで、実際上位にも入っていました。

もうひとつ取り組みについて伺いたいのですが、グループのInstagramで2週に1度、栄養部スタッフ考案のレシピを掲載していますよね(※)。どんなことを意識されていますか。

調理コンクールもそうですけど、自分でレシピを考えられる貴重な機会ですよね。しかもそれを、一般の方に発表できるわけです。管理栄養士なら当然知っている栄養の知識も、必ずしもみなさんが知っているとは限らないので、そこをちゃんとわかりやすくレシピに落とし込んで伝えていけたらなと思っています。

平成医療福祉グループのInstagramアカウントでは「HMW栄養部のかんたん健康レシピ」を掲載中! ぜひご覧ください。

管理栄養士の普段の仕事では、なかなか考えないことかもしれませんね。

そうなんですよ、やっぱり人に表現するってすごく大事なことですし、けっこう難しい作業なので、いい経験になるなと思っています。そこが苦手なスタッフも多いので、ぜひ前向きに取り組んでいきたいです。

時には挫折も大事な経験
教育にもっと力を入れていきたい

今後のグループ栄養部の目標はいかがですか。

もっともっと適切な栄養管理をしていきたいです。そのうえで、学術発表とか、ほかのいろんな取り組みも行っていける。もちろん調理師さんも、無理なく調理提供ができる。それをやるための組織が今整いつつあると思っています。

栄養部が部門としてしっかり機能し始めたところと言いますか。

みんなで動ける体制になってきたと思うので、組織をもっときちんと作っていきたいなっていうのが一番大きいところですね。

そのためにはどういったことが必要でしょうか。

最近しみじみ思うのは、教育の大事さですね。やっぱり、入職してすぐに期待以上の仕事ができるっていうのはなかなかないことなので。だから、入ってくれたスタッフをしっかり育てていって、その人たちが活躍できるような環境にしていきたいなと思っています。

教育に関して行っている取り組みはありますか。

地道に取り組んでいることとしては、関東エリアの施設では、毎月勉強会をやってます。症例発表みたいな感じで、こういうことに取り組んだとか、災害時にサバイバルフーズをこういう風に使ったっていうのを話してもらって共有しています。

毎月どこかに集まってやられているのですか。

いえ、テレビ会議ですね。もうちょっと広げていきたいので、僕だけではなくいろんな人に任せることも出てくるだろうなと。最近思うのは、管理栄養士っていう資格自体はただのツールでしかなくて、あとはそこから人としてどういうものを積み上げられるかだなと思います。それをちゃんと伝えなきゃいけないなって思ってます。難しいことですが。

堤さんのような管理者のポジションも、組織の中から育てていって。

そうですね、そうやって増やしていけたらと思います。だからみんなもっと現場をたくさん経験して、挫折も味わってほしいです。

挫折も大事ですか。

やっぱり一度痛い目を見ないと起き上がれないですし、ぬくぬくしてたら良くないですよ!

それはまさに、実際ぬくぬく過ごされていたご自身が体現してますね(笑)。

はい…(笑)。

子どもと遊ぶの大好き!
家では発泡酒を嗜む素敵なパパの一面

さて、お休みの日はどう過ごしていますか。

最近は大学院に通っていることが多いですね。あとは、1歳の子どもがいるんですが、ずっと一緒に遊んでます。子どもは本当にかわいいですよ。

いいですね〜。ご家族でどこか出かけることはありますか。

ショッピングモールが多いです。子どもを無料で解き放てる場所に連れていって、「行ってこい!」って(笑)。

無料っていうところがポイントですね(笑)。ちなみに、家で料理は作りますか。

作りますよ。もともと一人暮らしの時から自炊もしていましたし。ケーキやパン、クッキーも自分で焼いて、職場で振る舞っていました。

以前は飲み会も多かったと話されていましたけど、普段お酒を飲むことは。

お酒は好きですね! でも結婚したら、以前は家でも飲めていたビールとか日本酒が、発泡酒1本になり…(笑)。今はその発泡酒を飲みながら野球を見るのが楽しみです。

では最後に、個人的な目標があれば教えてください!

早く子どもと公園で遊びたいですね。今はまだつかまり立ちなので、そのうち一緒に引き連れて公園を走りたいです。

いつかキャッチボールとかもできるといいですね。

そうそう! そういうのが一番楽しみです。

プロフィール

平成医療福祉グループ 栄養部課長 

平成医療福祉グループ 栄養部課長 

堤 亮介

つつみ りょうすけ

【出身】京都府京都市
【職種】管理栄養士
【好きな調味料】マヨネーズ
【好きな調理器具】ホーロー鍋

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