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診療部

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治療とケア

治療は、病状の診断を踏まえた異常への直接的な対応を中心に展開されます。たとえば、がんが確認されれば手術でその部分を除去し、感染症の場合は抗菌薬により病原菌を排除します。低ナトリウム血症の際にはナトリウムの補給が行われるのです。このように、診断を通じて特定された医学的異常に対し、それを取り除くか、あるいは不足や過剰を調整することで治療は成り立っています。

これに対し、ケアは診断そのものを必ずしも必要とせず、異常に着目するのではなく、個々人が有する健康を維持・強化する資源や能力に焦点を当てています。患者さんのQOLの向上を含め、身体的のみならず精神的、社会的なサポートの重要性を認識し、健康の促進に貢献します。

治療が病気のコントロールと回復を目的とするのに対して、ケアはQOLの全般的な向上を目指します。両者は健康の維持と病からの回復という共通の目標に向けて互いに補完し合います。しかしながら、医療現場でケアに重点を置く取り組みは十分に根づいていないのが現状であり、その結果、患者さんのQOLが犠牲になることが少なくありません。

診療部門では、ただ治療を行うに留まらず、患者さんのQOLを向上させるケアの視点も積極的に取り入れていきます。患者さん一人ひとりに寄り添い、そのニーズに応じた医療を提供することで、本当の意味での健康をサポートしていくことを目指しています。

地域で必要とされる医療・福祉の追求

私たちは「自分たちのやりたい医療」ではなく「地域に必要とされる医療」を提供することを目指しています。地域のなかでしっかりと根を張って、その時代、その地域に、最も必要とされている病院を目指して柔軟に形を変えてきました。そのため、各地にあるグループ病院は機能も規模も全く異なります。

超高齢社会、人口減少社会の日本は医療において大幅な変革がなされようとしています。これからも時代を読み、地域のニーズを的確に汲み取って、地域になくてはならない病院でいられるよう最大限に努力を続けてまいります。

慢性期・高齢者医療のスペシャリストとして

医療は日々進化し、より高度で複雑になっています。世界中で標準的な治療ができるように国内外の学会で各疾患の治療指針が作成され、それが医療現場で利用されています。しかし、これらの治療指針のほとんどが若者向けに作られており、高齢者用の治療指針はほとんど存在しません。

創業以来、私たちは一貫して高齢者医療の専門的な治療を続けてきました。高齢者の身体は、さまざまな点において若い人たちと異なり、若い人と同じ治療法ではうまくいかないことが多いのです。治療指針のない高齢者医療の世界で、私たちは最良の治療を目指して努力し、ノウハウを積み重ねてきました。2017年10月には「慢性期医療のすべて」という慢性期医療のノウハウを集めた教科書をメジカルビュー社から出版しました。私たちのノウハウが全国の医療機関で生かされることにより少しでも多くの患者さんがよくなることを期待しております。

私たちは実践的な高齢者医療のスペシャリストとして地域医療に貢献します。また、私たちの取り組みを全国に広めて日本の高齢者医療をよりよくするために、これからも努力を続けていきます。

チーム医療を成功させるための取り組み

チーム医療を成功させるための秘訣は医師の意識が変わることです。医師はチームのリーダーではありますが、決して偉いわけではないということを理解する必要があります。それぞれの専門職がチームを組んで患者さんの治療にあたる場合にはそれぞれの専門職があくまでも対等な立場で話をできることが絶対条件になります。診療部ではヒエラルキーを解消してフラットなチーム作りができるようにさまざまな取り組みを行っています。

また、当グループでは薬剤師や管理栄養士、臨床検査技師などが病棟業務に参加することを強く奨励しています。病棟で業務を行うことにより医師、看護師、介護スタッフ、リハビリスタッフなどと同じ場所で仕事をすることができます。同じ場所で仕事をするということもよいチームを作るうえで欠かせない対応です。

それぞれの病棟では患者さんの治療方針を話し合うためにカンファレンスを行います。カンファレンスの質を高めるために独自に開発したカンファレンスシートを使用するとともに、ファシリテーションの研修なども行っています。

研究心醸成のための取り組み

多職種間で最新の医療・福祉情報をグループ内で共有することを目的として、年に1回グループ学会を開催し、グループの各病院・施設からさまざまな職員が発表・聴講しています。こうした学会での発表を行うことで、グループ職員全体の意欲が高まり、グループ外での全国学会等への発表成果にもつながっていきます。各職種ごとの研修会や多職種合同の研修会などもグループ規模で実施をしています。

職種や病院・施設に限らず、さまざまな視点から発表される内容に新たな発見をしたり、治療方針や知識などの共有をすることで、日常業務への意欲が向上でき、よりよい医療の提供へとつながります。

また2022年度には平成医療福祉グループ総合研究所を設立し、グループ職員の研究活動支援、研究データベースの構築と活用、臨床試験のフィールド提供・共同研究、革新的研究プロジェクトの創出に取り組んでいます。回復期・慢性期医療のエビデンスをグループ全員で創出できる体制が整いつつあります。

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