「入院生活は、ベッドで安静に過ごすもの」というイメージはいまだ強い。
しかし、平成医療福祉グループでは、日中はできるだけベッドから離れて過ごすように患者さんに促す「離床」に取り組んでいるという。長期にわたる安静状態による身体・精神機能の障害「廃用症候群」を防ぐためだ。今回は、博愛記念病院(徳島市)の離床の取り組みにフォーカスを当て、患者さんと彼らの離床を支える病棟スタッフの日常を撮影した。(写真・文:生津勝隆)
パジャマを着替えて日常を送る
博愛記念病院は、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、 医療療養病棟、障害者施設等病棟の4つの病棟がある。入院している患者さんの約7割は、急性期の治療を終えたのちに元の生活に戻るためのサポートを必要する人たちだ。とりわけ廃用症候群の進行が早いとされる高齢者の方たちも多いため、入院時から「退院後の日常生活」を意識した離床の取り組みが行われている。
陽射しの明るい部屋でリハビリテーションを
博愛記念病院の総合リハビリテーションセンターは天井が高く開放的だ。大きな窓からは暖かい陽射しが降り注ぎ、リハビリテーションを行う人々の姿にも明るい希望が感じられた。
数ヶ月単位のリハビリテーションを経て、徐々に身体の機能が回復するといよいよ退院の時を迎える。嬉しい気持ちの反面、今まで通りの生活に戻ることに対する不安もあるに違いない。退院前には、自宅での日常動作を確認するリハビリテーションも提供されている。
手のぬくもりと諦めないケア
入院している患者さんのなかには、重度の疾患で身体を動かせない人や、ベッドから起きるには介助が必要な人、あるいは認知症のある人たちもいて、それぞれに合わせた離床のあり方が模索されている。重篤な患者さんほど寝たきり状態による廃用症候群の進行は早い。身体機能を維持・回復するにはどうしたらよいか。病棟スタッフの連携による諦めないケアが続く。
プロフィール
フォトグラファー
生津勝隆
なまづ・まさたか
東京都出身。2015年より徳島県神山町在住。ミズーリ州立大学コロンビア校にてジャーナリズムを修める。以後住んだ先々で、その場所の文化と伝統に興味を持ちながら制作を行っている。