「Bridging Care: HMW welcomes Dutch Family Physicians」を世田谷記念病院で開催しました

2025年4月7日(月)、平成医療福祉グループが運営する世田谷記念病院に、オランダから約20名の視察団が訪れ、「Bridging Care: HMW welcomes Dutch Family Physicians」が開催されました。
「ポジティヴヘルスジャパンエイジングツアー」の一環として実現した今回の来訪は、家庭医を中心とした医療従事者たちが、日本の高齢者医療の現場に触れ、互いの知見を交換する貴重な機会となりました。
今回の会場となったのは、世田谷記念病院が運営する、地域交流スペース「2Co HOUSE」。
午前の部では、当グループからのレクチャーが行われました。天辰副代表による日本の医療制度の解説に始まり、武久代表がグループの理念や、診療の指針を紹介。世田谷記念病院の手老事務長からは、同院の機能や取り組みと、会場である2Co HOUSEの役割について、具体的な取り組みを交えて説明がありました。



その後、参加者は少人数のグループに分かれ、病院内を見学。現場のスタッフとの活発な意見交換を通じて、高齢者医療のアプローチに触れました。

午後は、視察団を率いるポジティヴヘルスインターナショナル・ディレクターのDr. Karolienによる講義が行われ、「ポジティヴヘルス」の概念が当グループ側に紹介されました。
この「ポジティヴヘルス」という考え方は、従来の「病気がない状態=健康」という定義から一歩踏み込み、人がその人らしく、前向きに人生を歩もうとする力そのものを“健康”と捉える新しいアプローチです。オランダの元家庭医であるMachteld Huber(マフトルド・ヒューバー)氏が提唱し、近年ではヨーロッパを中心に広がりを見せています。
ポジティヴヘルスでは、健康を「身体的な状態」だけでなく、「心の状態」「日々の意味や目的」「人とのつながり」「生きがい」「暮らしの質」といった多面的な視点から捉えます。この枠組みを視覚化するのが「スパイダーネット」と呼ばれる六角形のチャートで、参加者自身が6つの項目(身体の機能、心の状態、人生の意味、生活の質、社会的関係、日々の暮らし)を自己評価し、そのバランスを可視化することで、自らの状態を主体的に捉え直すきっかけとなります。
※ポジティヴヘルスについて、くわしくは「ポジティヴヘルスジャパン」のサイトをご覧ください。
https://www.positivehealth-j.com/

Dr.Karolienの講義後には、参加者全員が「スパイダーネット」を使い、自身の健康についての現状や価値観をシェア。自身の思う「健康」について、話が交わされました。
また、当グループのスタッフとオランダのメンバーが混在したグループに分かれ、それぞれが直面している高齢者医療の課題を出し合い、ポジティヴヘルスの実践的な可能性について議論が深まりました。

また、今回のイベントは、外部の協力も多く得ての開催となりました。メインの通訳を務めたのは、オランダ在住の医師、山田拓先生。本イベントとともに「ポジティヴヘルスジャパンエイジングツアー」全体でも通訳を務められています。さらに、会場での通訳は、子育てが「まちの力」で豊かになる社会を目指して活動する、認定特定非営利活動法人「こまちぷらす」の代表、森 祐美子さんにも協力いただきました。
※森さんによる当日のレポートがこちらでご覧いただけます。

国や制度の違いを超えて、「人が自分らしく生きるとは何か」を見つめ直す、貴重な一日となりました。
当グループでは今後も、こうした国際的な交流を通じて、より柔軟でしなやかな医療のかたちを探求していきます。




