ひとプロジェクト 第56回【後編】西宮回生病院 院長/福西 成男先生

西宮回生病院

院長

福西 成男 先生

Fukunishi Shigeo

規模が違っても「ある一面」で秀でている病院をつくりたい
特定分野の強みを生かし、スピード感のある病院に

ひとプロジェクト第56回目、西宮回生病院 院長の福西成男先生の後編です。今回は、約30年勤務した大学病院を退職し、2019年の4月に院長として着任した福西先生が、院長になると決めた日から現在に至るまでの、さまざまな想いについてお聞きしました。また、穏やかな笑顔が印象的な先生が、プライベートで実践する究極のリフレッシュ法も教えていただきました。ぜひご覧ください!

目指したい病院像を見据えて着任を決意

西宮回生病院の院長になるまでの経緯についてもお聞きしていきたいのですが。

2016年当時、大学病院に勤務しながら、リニューアル直後だった西宮回生病院に、週に何度か外来診療に来ていました。その時期に「当時大学で教授を務めていた吉矢先生(現 西宮回生病院顧問)が教授退官後にここで勤務されるらしい」という話を耳にして、何となく僕も働くつもりでした。まだ決まっていないうちから何となく働くつもりでした(笑)。

(笑)。外来診療で関わっていた当時の病院の印象はいかがでしたか。

リニューアル前は20年ぐらい整形外科がなかった時期もあると聞いていました。そういうこともあって、整形外科全体で見ると、今みたいに手術や治療を前提とした患者さんよりも、肩や膝が痛いから整形外科に来た、という患者さんのほうが多い印象もありました。

長年勤務してきた職場を離れる不安はありましたか。

なかったですね。吉矢先生が着任するタイミングで僕も着任する話をいただいて、率直に「ありがたい」って思いました。大学病院からも近いですし、何よりも家から近くなるし(笑)。 いいことばっかりだと思いました。

着任まで少し時間があったなかで、何か構想されていたことがあったのでしょうか。

もともと大学にいた時から、考えていたことはありました。大学にいると、それができないことはわかっていたので、いいタイミングだなぁと思っていました。

  • 「特定分野の強み」をもっと磨きたい、という想い

    その構想はどんなものだったのですか。

    そんなに大きな病院じゃなくていいので、機動力があって、設備面もある程度揃っていて、ある部分においては大学よりも秀でている存在が、大学病院の近隣に必要だと思っていました。

    そういった病院を作りたいと。

    総合的な関連病院だと規模も大きくなりますし、今からその規模を目指しても大学病院ほどにはなれないじゃないですか。全体的にふわっとしている病院にはしたくないんです。

    特化した診療科があるべき、ということでしょうか。

    それが必要だと思います。もし、一部の診療科が大学病院よりもスピード感を持って対応できるほど専門性があれば、患者さんや地域のニーズに答えられます。来院数が多い大学病院ほど待たずに対応できれば、患者さんへの負担が治療面以外でも少なくなります。大学病院とも近くて、リハビリのスタッフが100人もいるこの病院なら、それになれると思いました。

着任1年目から起こった想定外の出来事

2019年に着任して、2020年には新型コロナウイルス感染症の流行と、世界が一変してしまったと思いますが、いかがでしたか。

そうですね。年の瀬に職員とそんな話をしていたら、あっという間に日本中で感染対策に追われることになりましたね。着任してすぐに結果は残せないだろうと思っていましたが、そもそもこの予想はしていませんでした。ただ…感染対策の本音を言えば、ずっと悔しい気持ちでいっぱいです。

「悔しい気持ち」ですか。

誤解を受けるかもしれませんが、今回のような感染症の症状は、当院のように整形外科に特化している病院だと患者さんを診ることはできません。僕自身が整形外科医なので、内科領域に手を出せないことは十分、わかっています。これは、本当に悔しいですね。

助けられない悔しさですか。

ありますね。医者だったら、ウイルスをやっつけてやりたいし戦ってやろう、って思うじゃないですか。医者として、患者さんを助けられないのは悔しいですね、本当に。

そんな状況でも得られたことはありましたか。

コロナ禍でも紹介件数や手術件数が伸びています。以前だったら大学病院で手術を受ける患者さんが、当院を選んでくれているのかな、という実感があります。着実に手術件数を増やすこともでき、股関節・膝関節の紹介状が増えていると職員自身も実感しているようです。そこは、嬉しい発見でした。

  • 「できない」と思わせない環境づくりを

    昨年は共同執筆された英語論文(※)が、海外の学会誌に掲載されていますよね。

    そうですね。そういった成果も残していきたいと思っています。特に英語論文は、研究に主軸があるような大学病院の「一部の人たちの仕事」というイメージがあって「そのほかにいる人たちは書かない」みたいな体質があるので、そこも変えていきたいですね。この病院で働けば、ここの症例をもとに執筆もできるし評価もされる、という実績を作っていきたいです。

    ※学会誌「Arthroplasty today」に掲載。くわしくはこちらのページをご覧ください。

    教育面の充実はご自身の経験からですか。

    その部分は大きいと思います。昔から「後輩指導」が趣味みたいになっていることもあるぐらい…けっこう好きですね。僕にできる分野であれば、喜んで教えていきたいと思っています。

    今後の展望についてもお聞きしたいです。

    今年は、手術数年間1,000件を目指したいですね。救急を受けて緊急の手術をするような病院であれば、手が届きそうな件数なんですが、当院はそういった外傷手術ではないので、患者さんから選ばれる病院を目指すという意味にもつながると思います。

    病院内の部分ではいかがでしょうか。

    みんながモチベーションを高く保てる職場になったらいいな、と思っています。それぞれがやりたいと思っていることが職場で実現できる環境を提供できるようにしていきたいです。さっきの論文発表のように、医師だけに限らず、ほかの職種でもやりたいと思っている職員がいれば、変わらずサポートしていきたいです。

サッカーの代わりに見つけた
屋外での楽しみ

では、最後に仕事のリフレッシュ法をお伺いしたいのですが。

ここ1年は自粛中ですが、サッカーがストレス発散とリフレッシュになっています。年齢が上がるにつれて、ボディションがどんどん下になっていますが、楽しんでいます。

(笑)。サッカー以外には何か続けているものはありますか。

仕事が趣味みたいになっているところもあるので、あんまりコレというものがないんですよね。う〜ん…しいていえば、奥さんとワインを飲むことです。週に一度ぐらいは、夫婦でのんびりとワインを。

素敵な時間ですね。

こういうご時世になってから、お店には入らないようにしているので、もうずっと屋外で飲んでいるんです。テーブルとか椅子とか必要なものを外に出して。

(笑)。この季節は…かなり寒そうですね。

そうなんですよ。ずっと凍えながら飲んでます(笑)。でも、楽しみを捨てたくないから、がんばります(笑)。

前編を読む

profile

西宮回生病院
院長 福西 成男(ふくにし しげお)

【出身】奈良県
【専門】整形外科(リウマチ・股関節)
【趣味】サッカー(今は自粛中)、週に一度、夫婦でワインを飲む

病院情報

兵庫県西宮市大浜町1番4号

医療法人社団 西宮回生病院

整形外科・小児科・リハビリテーション科・内科・外科・脳神経外科・皮膚科映画「火垂るの墓」や村上春樹さんの小説にも登場する歴史ある病院です。総合病院的な要素も保ちながら、中高年の関節機能障害の再建からトップアスリートの競技復帰まであらゆるレベルの整形外科治療に対応できる病院として地域医療への貢献を目指しています。