ひとプロジェクト 第66回【後編】 世田谷記念病院 副院長/前田 朝美先生
世田谷記念病院
副院長
前田 朝美 先生
Maeda Tomomi
世田谷記念病院で初めて知ることができた「多職種連携」
地域に根ざして、さらに求められる病院に!
世田谷記念病院で副院長を務める、前田朝美先生の後編です。後編では、世田谷記念病院に移ることとなった経緯や、長らく急性期医療に携わっていた先生が、初めて慢性期医療に触れて感じたことなどを伺いました。副院長として思う世田谷記念病院の強みや今後の展望、さらに、プライベートで密かに考えている「ある将来の夢」についてもお話しされています。ぜひご覧ください!
-
縁あって世田谷記念病院に
総合内科の経験を生かして取り組む世田谷記念病院に入職したのはどういった経緯でしたか。
この病院が開院して半年後ぐらいに入職したんですが、それもまたご縁があって。世田谷記念病院の初代院長と、当時私がいた大学病院の研究室のボスが、同期で仲が良かったようです。世田谷記念病院で、その時ちょうど内科の医師を探していたので、ボスを通じて、私に「どう?」って話をいただきました。
声をかけられた時はどう思われましたか。
もう大学病院の仕事も長く務めたので、そろそろ離れようかなと思ってはいた頃だったんですね。
ちょうど次のことを考えていた時期だったと。
その頃は仕事のなかで臨床の割合が少なくなっていて、患者さんを診る機会も減ったので、どうしようかなと考えていました。
前田先生としては、今後も臨床に関わっていきたいと。
そうですね。そこで、また誘われるがままでしたけど(笑)、こちらに来ることになって。でも入ってみたら、元いた大学病院の研究室でずっと一緒だった志村先生が働いていましたし、グループの副代表も私がいた大学の出身で、とてもご縁を感じました。
偶然のご縁があったんですね! 移ってからはどんなお仕事をされたのですか。
当時あった医療療養病棟を最初は担当しました。そのうち、地域包括ケア病棟が開くということで、今度はそちらの担当になり。
慢性期医療の病院で働くのは初めてだったと思うのですが、お仕事をしてみていかがでしたか。
主に、急性期病院で専門的な治療を終えた患者さんが転院されてくるんですけど、結局いろいろな病気をまだ抱えている方が多いので、その診療を行うことは、前の大学病院でやっていた総合内科に近いなと思いました。
なるほど、前職での経験が生かせたのですね。
ここでは大学病院のように専門的で特別な治療をするわけではなく、急性期の治療を終えた患者さんの全身の状態を落ち着かせて、ご自宅に戻ってもらうことが目的でしたから、私がやってきたことに通じるなって。
回復期リハビリテーション病棟も担当されたのですか。
医療療養病棟と地域包括ケア病棟の時は、経験を生かしながらできる範囲だなと思っていたんですが、リハビリは今までまったく触れていない分野でしたので、担当してほしいと言われた時は、とにかくビックリしましたね(笑)。
(笑)。驚きながらも担当されていると。
ただ、ここはリハビリスタッフが優秀でしっかりしていますから、そこに助けられています。
-
世田谷記念病院で実感できた
「多職種連携」
長らく大学病院で働いた先生が、ここまで世田谷記念病院で働いて、何か思うことはありますか。
すごく勉強になりますし、やってることも素晴らしいなと思いますね。以前働いていた時のことを振り返ると、病院から退院した後、ご自宅にどうやって戻られていたのか、よく思い出せないんです。
急性期医療の目的として、まず必要な手術や治療を行うことが急務ですからね。
当時は治療に集中していたというか、退院後のことをあまり意識していなかったですね。世田谷記念病院に入ってみると、そういった急性期の治療を終えた患者さんを受け入れて、在宅復帰できる状態に戻して、次の療養先やご自宅に移っていただく、という流れが、とても大変なことで、大事なことなんだなと、気付かされました。実際に急性期病院から患者さんを受け入れる側になって、初めてわかったことでした。
例えば、先ほど話に出たリハビリや、栄養管理に力を入れているのもこのグループの特長ですよね。
みんなで協力して、患者さんの在宅復帰を目指すっていう環境がありますね。「多職種連携」と、言葉としては聞いていましたけど、その重要性を感じました。わからないことはほかの職種のスタッフに聞くことも多いですし、それがすごくありがたいです。
-
「絶対に見捨てない。」の理念に
スタッフ一丸で取り組んでいます副院長のお仕事はどんなことがありますか。
副院長として出席する会議などはあるんですが、仕事としては臨床がメインになっています。イニシアチブを持って、もっと病院を引っ張って、という声もいただくこともあります。でも、ここまでお話してお気づきかと思うんですが、そういったことはなかなか得意でなく…(笑)。でもがんばっていこうと思っているところです。
なるほど(笑)、それぞれの得意分野がありますからね。先生が思う、この病院のいいところを教えてください。
「絶対に見捨てない。」というグループの方針に対して、本当にスタッフみんなががんばって取り組んでいると思います。大変な状況の方でも受け入れて、良くなってご自宅に戻ってもらうというところに全員が力を入れてくれていますから。スタッフみんなが一生懸命に取り組んでくれていると感じています。
世田谷記念病院の今後の展望はいかがですか。
今は在宅医療にも力を入れていますし、これから地域にもっと根ざしていって、この病院に来て良かったとさらに思っていただける病院にしていきたいですね。
より地域の方に信頼いただける病院ですね。
この病院に入院したことがある知人やご家族が「良い病院だったよ」と言ってくださって、それを聞いて来てくださる方もいるんです。それがすごく嬉しいので、大変ではあっても、これからも満足いただける質の高い医療を丁寧に提供して。ほかの医療機関では難しいとされた方も、在宅復帰していただけたり、少しでもできることを増やせたり、そういうことをもっとできる病院にしたいなと思っています。
-
-
坂道、アニメ、伝統工芸
目指すは職人…!?ちなみに、個人的に今後やりたいことはありますか。
医師として副院長として、この病院を良くしていくということはもちろんしたいんですが、それとは全く別でやってみたいことがあって。
どんなことですか。
全然具体的な話ではないんですけど、それは、物作りに携わりたいと思っているんです。
おおっ、全く違う分野にも興味があると。具体的にはどういうことですか。
「この伝統工芸は後継者がいなくて、技術を受け継ぐ人がいなくなってしまう」っていう話題をテレビで取り上げていることがあるじゃないですか。そういうのを見ると「私がやらないといけないんじゃないか!」って、思っちゃうんです(笑)。
意外な話でした(笑)。なるほど、伝統の技術に興味があると。もともと器用というか、手を動かすことが好きなんですか。
うまくできるできないは別としても、嫌いではないんですよね。絵を描くのも好きでしたし、美術の授業も楽しかったです。今までは医師として、治療を通して、大事な体を修理して保つ、長く健康でいてもらう、というお仕事をしてきたので、創造するっていうことにも興味があるんです。家でも簡単にですけど絵を描くことはあります。ただ行動力はないので「日々の仕事で疲れた」と言って、特にそれ以外はしていないんですが(笑)。
(笑)。では頭の片隅には、そういった物作りへの憧れのようなものがあるのですね。話は変わりますが、お休みの日はどう過ごしていますか。
コロナ禍になってしまってからは、もうグウタラなので、お恥ずかしくてとても言えないです。
のんびり過ごされているんですね(笑)。以前はよく出かけていたんですか。
ライブを見に行ったり、映画を見に行ったりとしていましたね。
どういうライブを見に行かれてましたか。
いろいろですよ。ちょっと恥ずかしいんですけど、アイドルからロックまで。
どんなアイドルを見に行かれるんですか。
坂道グループです。旦那と一緒にですけどね。あとはいろいろポップスも行きました。BUMP OF CHICKENとか、THE YELLOW MONKEYも行きましたよ。
人気のアーティストばかり見られていますけど、よくチケットが取れましたね!
本当に、よく取れましたね(笑)。
例えばそういうアイドルを見に行ったという話を、病院内ですることもあるんですか。アイドル好きなスタッフさんもきっといると思うんですが。
いると思います。だからちょろっとだけ話しましたけど、あんまり広めないようにしてます。恥ずかしいですし、謎多き人にしておきたいと思って(笑)。
(笑)。以前からそういったライブなどにはよく行かれていたんですか。
もともとスポーツとかアウトドアも自分でするのが好きなんですけど、だんだん面倒になってきちゃったので、そういうことをやる方から、いろいろと見る方になっていって。それで、誘われてSTARDUST REVUEのライブを見に行ったら「生演奏っていいな」って気がついて。そのうちアイドルのライブを見に行ったら「まあ楽しい! かわいい!」って。
ライブも減ってしまった最近は、家で楽しむことも多いですか。
そうですね、家のテレビでアニメを見たり映画を見たり。料理もしますし、明るいうちからお酒もいただいて(笑)。
いい休日ですね(笑)。
最近見たアニメだと『Dr.STONE』とか『はたらく細胞』が面白かったです。映画だと『罪の声』とか、『ボヘミアン・ラプソディ』を見ました。
いろいろ見たり聞いたりと、そういった趣味も充実してそうですね。
この趣味だけを極めていくっていうのはないので広く浅く。仕事も一緒で、私はそんな感じなのかもしれないですね(笑)。
その時その時で、興味を持ったことにずっと取り組まれてきたということかもしれないですね。では、インタビューは以上になります!
はあ、恥ずかしかった〜(笑)!
-
前編を読む

世田谷記念病院 副院長 前田 朝美(まえだ ともみ)
【出身】東京都板橋区
【専門】内科
【趣味】映画鑑賞、ライブ鑑賞
【好きな食べ物】イチゴ、白米、トウモロコシ、芋と名のつくものすべて
病院情報

東京都世田谷区野毛2丁目30-10
医療法人 平成博愛会
世田谷記念病院
内科・整形外科・リハビリテーション科急性期病院での治療を終えられた患者さんを迅速に受け入れ、入院早期からの積極的な治療とリハビリテーションにより、できるだけ早く自宅や施設に退院していただくことを目標としたPost Acute Care(急性期後の治療)を専門的に行う病院です。