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ひとプロジェクト【第6回・後編】平成医療福祉グループ 診療本部長/井川 誠一郎先生

ひとプロジェクト 井川さん
ひとプロジェクト 井川さん

慢性期医療も「目標を持った医療」を提供できることを目指す

慢性期医療の楽しさを知った井川誠一郎先生。後編では、診療本部長として力を注いでいる取り組みについての話をお聞きました。そして、未来を託したい相手までこっそり教えてもらいました。

慢性期の古い考えを塗り替えるために、
何度でも「なんでや?」と問いかける

―勤務医としても診療本部長としても変わらない視点はありますか。

現場のスタッフとは話をするし、できるだけ声をかけられたら聞くようにしていますね。うちのグループの平成記念病院が開設されるタイミングで院長になったときに、人員とスタッフ育成に1年ぐらいかなり力をかけたことがあってね。随分話をしたなぁと。

―どんな話が多かったですか。

慢性期医療には、もともと「そっと見守る」という風潮があったんですよ。でもうちのグループ内では、積極的に患者さんの自立を目指しているから、応援で来たスタッフたちは当然のように各自の持ち場でガンガン動くわけです。外部から入職したスタッフはそれに怒っちゃってね。学んできた慢性期医療の考えが異なるから、積極的に動くことに抵抗があったんだと思います。最初の1年は人を採用しても、なかなか新しい人は定着しませんでしたね。

―考えを変えた人たちが残ったということですか。

そうなるかな。僕の口癖は、スタッフから受ける報告を「なんでや?」と言って返すことらしいです。スタッフ自身が考える癖をつけてほしくて、無意識に言ってます。例えば、患者さんが暴れますとだけ報告するスタッフがいたら、合わせて経過も報告できるように考えてほしいんです。なぜその処置をする必要があるのかを患者さんに説明できたのか、患者さんはどこまで理解を示したのかまで掘り下げてほしいんですよ。しっかりと答えられる医療者であってほしいから「なんでや?」って今後も聞き続けていきますよ。

 
 

地域の医療機関を地域同士で助け合う
地域包括ケア病棟をつなぐネットワークづくり

―救急医療機関と地域の病院を結ぶコーディネーターをされているとお聞きました。

大阪緊急連携ネットワークのコーディネーターのことでしょうか。今から10年以上前に、なぜ三次救急がうまく回らないのか話し合ったことがきっかけでした。定期的に担当者が集まって会議を続けて顔なじみになる土台を作りました。最近は、病院同士で連絡が取れるまで関係が構築できたので、コーディネーター業のみの役目は少なくなりましたよ。

―なぜ三次救急が回らないのでしょうか。

本来なら重症患者さんを受け入れるはずの三次救急に、高齢者の軽傷患者さんが搬送されることが原因なんですよ。原因って言葉の響きが悪いけど、一次と二次で受け入れができなかったら、三次が必ず受け入れなきゃいけないでしょ。地域にある三次救急の問題を地域の病院で解決しようという取り組みがこのネットワークづくりです。

―最後の砦が、軽傷を受け入れてしまう状態なんですね。

そうなんですよ。救急搬送件数の半数以上が軽症高齢者という状況になっていて、救急医療も高齢者医療をどうするべきなのか大きな課題ですね。搬送されて来た人は翌日に歩いて帰れるほどの軽症や中等症が多いですが、救急要請をするなとは言えません。軽傷でも重症化する場合もありますからね。慢性期や回復期の病院が持っている地域包括ケア病棟がフォローできたら、地域に根ざした取り組みもできるし、周辺病院とのネットワークも強くなるので、いい形が築けます。大阪の病院はシステムを作っていかんとダメなんですよ。

―「大阪の病院は」と強調される理由があるのでしょうか。

当時の大阪は、救命救急の仕組みが特殊で、単独型の救命センターで成り立っていたんですよ。各施設で40〜50床ほどの病床数を持っていても、満床になって焦げ付いてしまっていました。東京は1,000床以上ある大きな病院の中で20〜30床ほどを救命に割り当てるから処置が終わったら院内で転室できて満床を防げるんですね。患者さんの状態がちょっと落ち着いたら、すぐに近隣の慢性期病院に転院できるという施設間のスムーズな連携があれば小さな独立型の三次救急施設でも成り立ちます。だから着実に実績を残せてきました。

―現在までにどれぐらいの実績があるのでしょうか。

正確な数字は覚えてないですが、連携紹介数がまもなく1,000例になろうとしています。大阪の救急医療機関は、慢性期病院がある周辺にポツポツと点在しているので、救急医療機関とつながっているこのネットワークを途絶えさせるわけにはいかんな、と思っています。この定着したシステムを次の世代にどうすればいい形で残せるのか、最近はよく考えていますね。

 
 

「できるようになると何がいいのか」を
伝えていきたい

―ほかに力を注いでいる取り組みはありますか。

いっぱいあるなぁ、今は特定行為に係る看護師の研修制度かな。研修を受講できる仕組みと修了生の数を増やすことに必死になってます。この特定行為っていうのは、縟瘡管理や血糖コントロール、人工呼吸器の管理など医師しかできなかった医療行為が看護師もできるようになるものです。看護師数は医師よりも圧倒的に多いです。だから、看護師だけでできる範囲が広がることは、とてつもなく価値が高いんですよ。ただ、まだまだ人員不足なのが現状で当分はここに力を注いでいきたいと思っています。

―その研修の講師をされている頻度はどれくらいですか。

半年に一度ずつ開講しています。講義を受講している看護師のみなさんには「もっとできるようになると何がいいのか」修了後の魅力や価値を訴えています。一度に受講できる人数には限りがあるけど、今後はひとりでも多くの方に受講してもらえる仕組みづくりにも力を注ぎたいと思っています。診療を統括する立場としては、あらゆる方面にこういった取り組みの良さが届くようにしないとって考えています。あとは、そろそろ引き際も考えなきゃいけない年齢に入ってきたかなと思うことも出てきました。

 


 
 

あとは告白だけ!
バトンを渡す相手は、ばっちり決めている

―後輩に引き継ぎたいという気持ちがあるのですか。

いずれは、第二世代にバトンを渡すことを考えなきゃいけないなと思ってますよ。そりゃ、けっこう長いこと働いてきてるもん、無茶やで(笑)。今、思っていることはね「形はどうあれ」じゃなくて「形も残せる方法」を考えています。特に大阪緊急連携ネットワークは、定期的に顔を合わせてお互いを知っていることに意味があるからね。集まるメンバーは変わっても絶対に継続させたいなと思ってますよ。

そうやなぁ。全体を見渡せる眼力があって、アイデアを出せる力がないと困るなぁ。何より信頼できる人に託したいって思ってる。やっぱり人付き合いやからね。

―どなたか心当たりがいらっしゃるような雰囲気ですね。

決めてる人はおるねん。でも、まだ告白してないからなぁどうなるか、わからん。僕の中では「あいつしかおらんな」と思ってる。でも、プレッシャーを感じて断られても嫌やから、これ以上は教えられへんけどね。でも、ちゃんと見つけてますよ。

 
 

働く源は、
グリーンが美しいあの場所

―お休みの日はどのようにリフレッシュされますか。

ゴルフ!ゴルフをするために仕事しているって感じ。趣味もゴルフやし、時間ができたらゴルフがしたいねん。

―それほど、お好きなんですね。

プレーヤーとしてコースを回るのが好きなんですよ。あの世界観がすごくいい! 贅沢な時間だなぁといつも思うんですよ。広いコースの中に前後のチームを合わせても15人しかいない空間なんて、そう簡単にはないですよ。今はどこに行っても人が多いでしょう。コースを歩いて回れば15kmほどになるので運動にもなるし、最高やね!

―よく行かれますか。

最近、なかなか休みが取れてなくて回数減ってます(笑)。ちょっと、ここでゴルフの良さを言うとこかな。ゴルフは運動不足の解消になって健康的な生活が送れるって。ええでぇ〜ゴルフ!

 



 

 
 

profile


平成医療福祉グループ 診療本部長 
井川 誠一郎(いかわ せいいちろう)

【出身】大阪府
【専門】心臓血管外科
【所属学会】日本外科学会、日本消化器外科学会、日本老年医学会
【資格】日本外科学会認定医、日本消化器外科学会認定医、麻酔科標榜医資格
【趣味】ゴルフ
【好きな食べ物】粉もん、オムライス(ケチャップ派)

 

病院情報



https://hamaderahp.jp

医療法人 恵泉会 
浜寺中央病院

大阪府堺市西区浜寺公園町1丁15番地

内科・消化器内科・循環器内科・リハビリテーション科・放射線科

1951年4月の開設から療養型病院として、早期退院・在宅復帰をめざしています。2019年4月からは、堺温心会病院と合併し「堺平成病院」と名称を変えて、さらに充実した機能と体制で堺市の地域医療の中核を担うことができるよう目指しています。