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ひとプロジェクト 第48回【後編】多摩川病院 院長/後藤 紀史先生

    • 慢性期医療は「医療の原点」
      地域包括ケアシステムの中核病院となるべく、これからも取り組みます!

    • 多摩川病院の後藤紀史院長のインタビュー後編です。多摩川病院へ入職した経緯や、それまで取り組んできた急性期医療から慢性期医療へと移って感じた違いや、意識の変化について伺いました。多摩川病院の現状や今後、ともに働くスタッフへの想いについてもお話をお聞きしています。意外な特技も飛び出す後編、ぜひご覧ください!

  • 慢性期医療に感じた「医療の原点」

    長年働かれた長野県の病院から、この多摩川病院に入職された経緯を教えてください。

    親の介護もあって、まず関東に戻ってくる必要があったんです。ただ、この病院に移る前に、神奈川県の療養病院に入職して、5年ほど働いて、その後に多摩川病院に入職しました。

    後藤先生のように長く急性期医療に取り組まれた方が、新たに慢性期医療に取り組むのは、どんな意識の変化があったのですか。

    地域包括ケア病棟にまず興味が出たことですね。私が長野県にいた頃は、まだ地域包括ケアシステム(※)という概念はそこまで知られていなかったと思います。以前は「ケア」よりも、完全治癒という意味の「キュア」が先行していましたから。自分がケアしてもらう年齢に近くなってきたので、醍醐味がわかってきたというのもあったかもしれません(笑)。
    ※地域包括ケアシステム:高齢者の方が住み慣れた地域で自分らしく暮らせるよう、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」のサービスを一体的に提供できるケア体制を構築しようという取り組み。

    そんな(笑)。

    それと、働き方の問題もありましたね。以前は働き方改革もなかったですし、40代、50代と歳を重ねていくうちにだんだん辛い部分も出てきました。夜通し救急対応にあたってから、次の日もそのまま1日勤務するとか。

    なかなかの長時間勤務ですね。ご自身の興味の変化と、今後の働き方を考えると、慢性期医療が適していたと。

    そういうことです。そこで、地域包括ケア病棟がある病院で働けないかと探したところ、多摩川病院にたどり着きました。

    実際現場に立たれてみていかがでしたか。

    実は最初は地域包括ケア病棟ではなく、回復期リハビリテーションの担当になったんです。急性期病院とは当然違うので、最初は何をどれくらいやったらいいのかっていうところで判断に迷うところもありました。ただ、宣伝するわけじゃないですけど、このグループから『慢性期医療のすべて』(※)という本が出版されて、これは非常に参考になりましたね(笑)。

    ※『慢性期医療のすべて』監修・武久 洋三/編集・武久 敬洋、北河 宏之(メジカルビュー社)/当グループが培ってきた慢性期医療のノウハウをまとめた1冊。

    手前味噌のようになりますが、良いガイドとなったと(笑)。先生が思う慢性期医療の興味深い点はどんなところだとお考えですか。

    チーム医療を最も経験できる場だと思いますね。患者さんごとに目標設定して、それを目掛けてリハビリテーションと治療を進めていくわけですから、多職種で協力していかないとうまくゴールにたどり着きません。

    全職種で一丸となって目標に向かうと。

    カンファレンスを文字通り多職種でできるところが、今までと違った点でした。私の経験してきたなかでは、医師が進めることが多かったですから。

    医師の一存が強かったということですか。

    例えば心筋梗塞の患者さんが入院されて治療方針を決める際には、他職種が入り込む余地が少なかったわけです。それと、当時は患者さんの退院後の生活についてもあまり考えられなかったですね。

    あくまで急性的な治療をメインに取り組まれてきたわけですしね。

    退院してご自宅に帰られて、安心して生活できるところまでをサポートするというところに、医療の原点を感じられました。

    スタッフには多摩川病院の一員として
    誇りを持って働いてほしい

    院長になられたのはいつのことですか。

    2019年の7月ですね。その前に、2016年に副院長に就かせていただきました。

    そもそも管理者的な立場になるのはいかがでしたか。

    副院長に関しては、役職がついた方が物事をまとめるのに話をしやすいというところがあって、その点では良かったので、二つ返事で受けさせてもらいました。院長職については、お話があってから1日いただきました(笑)。

    (笑)。やはりすぐ受けるには話が重いと言いますか。

    まだこの病院に務めた期間が長いわけではないので、その点で少し迷いましたね。長野県の病院では12年も働いていましたので、病院のことは隅々まで把握できていましたけど。でも、せっかくいただいたお話なので、やらせていただくことにしました。

    どういう想いで院長職を受けられたのですか。

    どうせやるなら、働いていて楽しい職場にしたいなと思いましたね。若いスタッフも多いですし、長く務めてもらえることは病院にとっていいことですから。モチベーション高く働いてもらえるようにということは考えました。

    スタッフの方にはどんな働きかけをされるのでしょう。

    アイデンティティと言いますか、多摩川病院の一員として誇りを持って働けるようにとは思っています。そのために自分の判断で考えて、自分の言葉で意志を表してもらって。権限とまでは言わないけど、ある程度自由に取り組んでもらって、報告を後でくださいと伝えています。

    自信を持って働ける環境作りということですね。

    それと基本的なことではありますけど、なるべく声をかけるようにはしていますね。みんなの会話に入っていくこともあります(笑)。

    普段のお仕事はどんなことが中心になりますか。

    医師としては医療療養病棟で20床を担当しているほか、内科医として外来も持っています。そのほかにも、訪問診療や、訪問リハビリのための往診、グループのヴィラ町田の利用者さん向けの往診も行っていますね。

    院長ともなると、なかなかやることが多くて大変そうな印象です。

    今お話ししたような臨床業務のほかに、院長として外に出て挨拶に伺う用事も多かったのですが、新型コロナウイルスの影響で、そういった用事もオンラインで行うことも増えて、外に出る機会は減りましたね。

    院長職で大切にしていることはありますか。

    上長としては、人が言いにくいことを言うのが役目だと思っています。それと、スタッフから受けた話はすぐ決断するのも院長の責任ですね。なるべくその日のうちに返事をしています。そもそもは話を聞いた段階で大体結論は出ていることが多いんですが、一応その答えに整合性があるのかどうか、その確認のために時間をもらっています。

    地域の患者さんの
    充実した在宅生活を支援

    この地域の特性を踏まえて、多摩川病院はどのような役割を担うとお考えですか。

    ファミリーも増えて、都心のベッドタウンのようにはなっていますが、高齢化率も上がってはいますね。そのなかで肝に銘じているのは、Post Acute Care(※1)、Sub Acute Care(※2)の地域での1番を目指すということですね。急性期の治療を終えた患者さんや、地域で療養中の患者さんを速やかに受け入れて、安心な在宅生活を送っていただく。

    ※1 Post Acute Care(PAC):急性期病院での治療は終了したものの、自宅に帰ることが不安・困難な患者さんを受け入れ、治療とリハビリテーションで在宅復帰を目指す。
    ※2 Sub Acute Care(SAC):在宅療養中で状態が悪化した患者さんの入院を速やかに受け入れ、治療とリハビリテーションにより状態を改善し、在宅復帰を目指す。

    主に高齢の方の、在宅復帰を支援するのが役割となるわけですね。

    高齢化社会は進んでいきますので、その状況において、在宅生活の自立支援にもっと力を入れたいですね。

    近しい機能の病院は近隣にはありますか。

    実はそんなに多くはなくて、特に回復期リハビリテーション病棟が西東京には少ないので、役割としては重要なんです。地域包括ケア病棟については、急性期病院からのご紹介で来られる患者さんが多く、大変なこともあります。

    症状が重いという意味でしょうか。

    急性期病院でも在院日数が短くなってきているため、治療が完結しきっていない方が入られるケースもあって、急性期病院に近い治療を行う必要も出てきています。なおかつ、地域包括ケア病棟は在院日数60日という上限がありますから、そのなかで結果を出すためには、苦労もありますね。

    今後、多摩川病院ではどういったことに力を入れていきますか。

    訪問部門をもっと強化していきたいです。在宅生活の支援という点では、訪問サービスはとても重要ですし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、デイケア、デイサービスのご利用を控えられる方もいらっしゃいましたが、その分、訪問看護や訪問リハビリは需要が高まっています。訪問診療も含めて、さらに力を入れていきたいと考えています。

    今後どのような病院を目指していきますか。

    前身の多摩川総合病院は1929年に開院し、形態は変わりながら90年も歴史がありますので、今後もこの地で存続させていくことが使命だと思っています。地域包括ケアシステムの中核病院の一翼を担えるよう、とにかく地域の患者さんの希望に合った、在宅ないし地域生活の充実した支援ができるように努めていきたいですね。グループとしてもリハビリテーションが強みですので、スムーズに在宅生活に移行できるように、積極的に取り組み続けていきたいです。

    地域医療の重要な役割を担っていかれると。

    前身の病院時代から長く続いている健診センターもありますから、これからも地域のみなさんの健康の増進や、維持管理にもお役に立てると考えています。

    特技はブラインド・テイスティング
    ワインについては本格派

    お休みはどう過ごすことが多いですか。

    部屋の掃除が多いですね。

    マメにやられるのですか。

    蔵書が多いんです。積ん読ばかりですが(笑)。

    ほかにどんな趣味がありますか。

    ワインが好きでよく飲みますね。30代の頃から好きになりました。家にワインセラーもありますよ。

    本格的にお好きそうですね。

    ブラインド・テイスティングはやりますよ。

    お〜っ、かっこいい響きですね(笑)。わかるものなんですか。

    ブドウの種類や産地を当てるんですけど、大体わかるものですよ。

    それは数多く飲んできた経験から。

    そうですね、色や匂いの特徴が蓄積されていくんです。

    ワイン以外は何かありますか。

    麻雀も以前から好きで、調布市の医師会同好会で定期的にやっていました。そこには90歳の元女医さんも参加されていて、交流の場として楽しんでいましたね。健全なものですよ(笑)。

    ありがとうございます、安心しました(笑)。

  • 前編を読む

    profile

    多摩川病院 院長 後藤 紀史(ごとう としふみ)

    【出身】東京都武蔵野市
    【専門】内科、循環器内科
    【趣味】読書、ワイン、料理(カレー・ポテトサラダが得意)
    【好きな食べ物】握り寿司、エビフライ、ステーキ

    病院情報

    医療法人社団 大和会 多摩川病院

    東京都調布市国領町5-31-1

    内科・循環器内科・整形外科・リハビリテーション科

    回復期リハビリテーション病棟、医療療養病棟、地域包括ケア病棟に機能分化し、慢性期疾患の患者さんの治療、早期在宅復帰を目的とした機能訓練を行います。 また、内科、整形外科、循環器内科の外来治療をご提供するほか、居宅サービス、訪問看護や、日常の機能回復訓練のためのデイサービス、デイケアを設置し、地域の患者さんの幸福な日常生活の維持・増進のために努力しています。