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ひとプロジェクト【第47回・後編】世田谷記念病院 看護部長/榎並 由香さん

    • さらに強化し続ける看護への取り組み
      患者さん・ご家族のため、後輩たちに伝えたい、ある「想い」とは

    • 世田谷記念病院の看護部長、榎並さんの後編です。台風による水害を経てリニューアルした病院の現状や、今後強化していきたい取り組みなど、世田谷記念病院のお話を中心にお聞きしています。普段なかなか伝えられない、後輩看護師のみなさんへの熱い想いについてもお話いただけました。大事にしているご家族の話も飛び出す後編、ぜひご覧ください!

  • 進む慢性期医療へ理解
    手をかけることの大切さ

    立ち上げから在籍する榎並さんから見て、現在と開院当時を比べて、病院のどんなところが変わったと思われますか。

    働きやすさはだいぶ変わったんじゃないかと思います。目指す方向が、当初よりもしっかり定まっているので、やることが明確化してきているというか。グループで掲げている方針も浸透してきたのかもしれないですね。

    ほかに変化を感じる点はありますか。

    看護師の採用面接で「在宅看護に興味がある」「リハビリテーションに興味がある」と言って入職してくれるスタッフが多くなりましたね。「急性期病院で大変な時期の患者さんを見てきたけど、その後に患者さんがどうなっていくのかを自分たちは見れなかった」「家に帰るためのお手伝いをしたい」と話してくれるスタッフが集まるようになりました。

    それこそ、看護師を志した当時の榎並さんのような考えを持って入ってくるスタッフも増えたと。

    リハビリテーション看護や慢性期医療の役割というものが浸透したのもあるかもしれないですね。

    面接などでよくお伝えしていることはありますか。

    慢性期の病院だからと「患者さんに寄り添いたい」と志望動機をお話しされる方も多いんですが「寄り添うことは本当に大事なことですけど、決して忙しくないわけではないですよ」とお伝えしています。急性期、慢性期や回復期、在宅医療と、それぞれの忙しさがありますから。

    慢性期と聞くと、ゆったりできるイメージを持たれがちかもしれませんね。

    最初に就職した病院でも言われたことですけど、手をかければかけるほど、患者さんが良くなっていくのがわかるから、忙しくはなるけど、そこにしっかり取り組んでいくことが大事だよ、とお話するようにしています。

    リハビリテーションに取り組む病院における
    看護師の大切な役割とは

    基本的なことを伺いたいんですが、リハビリがメインの病院での看護師の役割とは、どういったものなのでしょうか。

    医師がチーム医療の中心として、患者さんの治療方針や指揮を取るのは当然あるんですけど、
    患者さんの身体的・精神的なことや背景を知ったうえで、いろんな職種と連携する、その要になるのが看護師だと思います。看護師と介護士は、24時間その患者さんのことをみていますから。

    一番長い時間関わっているのはその2職種になるわけですね。

    昼夜の様子がわかるので、在宅復帰後を考えると「昼はこういうことが必要で、夜はこういうことが必要」っていうのは看護師・介護士が一番よくわかってるんじゃないかなと思います。

    では「こういうことをしていきましょう」という提案も看護師から。

    しています。例えば「夜の排泄動作について、こういうところで手間取っているので、リハビリの時に、もうちょっと強化してもらいたい」と話すこともあります。

    そう考えると確かに楽ではないですね。榎並さんご自身は今は管理者として、現場からは離れてはいるわけですか。

    本当は自分の患者さんを受け持って、生意気かもしれないですけど、自分がやってきた看護をスタッフに現場で伝えたいな、と思う時があります。でも、この立場になっちゃうとずっと患者さんに関われるわけではないのでなかなか難しいですが、気がついたことは師長さんに伝えるようにしています。それと、どれだけスタッフが想いを持っているかなっていうのはすごく気にしています。

    どんな「想い」ですか。

    患者さんが病気になって障害を負った時に、世田谷記念病院を選んで入院してくださったからには、ここで良くしてご自宅に戻っていただくっていう責任があると思うんです。患者さん・ご家族の想いを叶えてあげられるか、あげられないか、ここが人生の分かれ道にもなると思っていて。「自分が受け持った患者さんは、絶対に良くして帰してあげたい」と思って、取り組んでほしいな、とはいつも思っています。

    患者さんにとっては一世一代のことでもありますからね。

    私自身、友だちのお母さんに入院してもらったことがあるんですけど、やっぱりスタッフを信頼していないと、自分の家族や友だちに勧められないと思うんですよ。その時は実際に感謝してもらえましたし、「いい病院」だと言ってもらえて、そのことが私にとっては誇りになっています。自信を持って勧められる病院にしたいと思って取り組んでもらえたらいいですね。

    台風19号の被害を経て強まった団結力
    さらに快適な病院へ

    2019年は台風19号による水害もあったと思うのですが(※)。

    私は当日休みだったんですけど、大変なことになるのではと思って、朝から来ていました。結果的に内水氾濫で下から水が上がってきたのですが、ものすごい勢いで、最後は1階の胸元くらいまで水が来ていましたね。

    ※2019年10月に発生した台風19号によって世田谷記念病院が被災。

    その時は、患者さんを上の階に避難させて、翌日、水が引いた後は各医療機関に全患者さんを搬送されたわけですよね。

    大変ではありましたし、各方面にご迷惑をおかけしましたけれど、できる限りのことは手を尽くしました。グループの各病院施設からスタッフが応援に来てくれて、こういう時ですがグループのありがたみを感じましたね。受け入れなどに協力いただいたグループ外の医療機関のみなさんにも感謝しかありません。

    その後は病院改修が始まって、今年の3月からリニューアルオープンとなりましたね。

    その間スタッフは、グループ内の病院・施設に出向していました。離れていくスタッフも多いのではないかと心配していたんですが、多少の退職はあったものの、ほとんどは残ってくれました。

    やっぱり、みなさんここを立て直したいという気持ちも。

    あったと思います。結果的に団結力が高まった気がしますね。ちょっとしたトラブルがあったとしても、みんな慌てなくなりましたし。

    災害を経て、対応力が養われたのかもしれないですね。新しくなった世田谷記念病院アピールするとしたらどんなところでしょうか。

    災害を経験したことで団結力が強くなって、より一層良いチームになったと思います。もちろん病院全体もリニューアルしたので、患者さんの生活環境・リハビリ環境もより良く整いましたね。居室やリハビリスペースも、さらに使いやすくなっています。

    リハビリスペースは以前よりも明るい場所になりましたね。

    日差しがさらに入るようになって、開放感が増しました。気持ちよくリハビリに取り組めると思います。

    受け入れをさらに幅広く
    退院後への取り組みもさらに強化

    現在、患者さん受け入れに関してはどんな状況ですか。

    リニューアル後は大変な時もあったのですが、今日時点ではおかげさまで満床になっていて、入院を待機していただいているような状況です。

    何か取り組みをされたのでしょうか。

    新規開拓に力を入れました。地域の開業医の方が、この病院のことをどれだけ知っていただいているのかなと思い、ご挨拶に行き始めたんです。それぞれ専門性を持った医師がいて、急性期病院同様の治療も一生懸命行いつつ、リハビリに取り組んでいる病院なんです、っていうことをお話しさせていただいて。そのためか、新しくご紹介いただけることも増えてきましたね。

    今後どんな病院にしていきたいですか。

    看護のことだけで言えば、みんなが在宅支援看護師(※)くらい知識をつけられたらなと思っています。特別な資格を取るっていうことではないんですけど、役割としては、ソーシャルワーカー+看護師、みたいなことですね。

    ※患者さんやご家族が退院後に地域でどのように暮らしていきたいのか、一緒に考えながら退院への支援や退院後の支援を行う看護師。

    入院から退院後のことまで一貫して考えられる看護師を増やしたい、ということですか。

    全員が在宅支援看護師に、ということではないですけど、患者さんの退院後の生活を考えた看護に、もうちょっと力を入れていきたいんです。看護師の家屋訪問も、今は機会を増やしています。

    訪問した場合、実際にどのようなことをされるのですか。

    退院して家に帰ることが決まったとして、病院での生活は日々見ているのでわかりますが、家に帰った時にどんなことが不自由になるか、必要になるかは、実際に見てみないとわからないわけです。ご自宅の環境を確認させていただいて、残りの入院期間でどんなことをしていくか、調整していきます。場合によっては家の改修も必要になってきますし。

    今後さらに増やしていかれると。

    介護士さんにも、もっと行ってもらいたいと思っています。介護的な視点で見て気がつくこともたくさんあると思うので。

    愛するドーベルマンと過ごす休日

    休日はどう過ごしていますか。

    犬と一緒に過ごしていますね。常に犬中心です。今は行けないですけど、犬と泊まりに行ったり、ドッグランに行ったり、多摩川沿いで犬友達と一緒に遊ばせたり。

    犬を飼われているんですね!

    ドーベルマンとスタッフォードシャーブルテリアを飼っています。旦那がずっとドーベルマンを飼いたいという希望があって、念願叶って2年前から飼い始めて、スタッフォードシャーブルテリアは最近増えました。

    ドーベルマンというと、番犬や警察犬の強そうなイメージがあります。

    優しい甘ったれさんです。イメージが悪いですけど怖くないですよ! この前は散歩中にハフッて何かくわえたと思ったら、財布を拾いましたからね。交番に届けましたよ。

    すごい!

    もう家族みたいなものですし、大事な存在ですね。彼らがいなかったら、大変な時期は心が折れていたかもしれないです。

    今は趣味に時間を使うっていうよりは、犬と一緒に過ごすことが多いですか。

    前はチームに所属して、バレーボールもしていたんですけど、週末に試合があると、それで自分の休みがなくなってしまうので、最近はやっていないです。院内にも別のチームに所属してる介護士さんがいて、試合で戦ったこともあるんですよ(笑)。

    (笑)。たまにやりたくなることもありますか。

    ありますよ。ちょっと前に、犬の散歩をしていたら、中学生くらいの子たちが輪になってバレーをやってたので、「入れて〜」って言って混ぜてもらいました。

    大胆ですね(笑)。

    「バレーやってたんですかー?」って言われました(笑)。

  • 前編を読む

    profile

    世田谷記念病院 看護部長 榎並 由香(えなみ ゆか)

    【出身】新潟県
    【趣味】犬と過ごすこと、バレーボール
    【好きな食べ物】ワイン(重いやつ)

    病院情報

    医療法人 平成博愛会 世田谷記念病院

    東京都世田谷区野毛2丁目30-10

    内科・整形外科・リハビリテーション科

    急性期病院での治療を終えられた患者さんを迅速に受け入れ、入院早期からの積極的な治療とリハビリにより、できるだけ早く自宅や施設に退院していただくことを目標としたPost Acute Care(急性期後の治療)を専門的に行う病院です。