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ひとプロジェクト【第30回・後編】緑成会整育園/看護師 戸島 由加さん

    • 利用者さんの新しい一面を見られることが喜び
      障害児看護の仕事の魅力を知ってほしい!

    • 緑成会整育園の看護師、戸島由加さんの後編です。障害を持つ子どもの療育に関わるお仕事の実際や、そのやりがいを中心にお聞きしています。日々のふれあいのなかから感じる変化や、思わずファンになってしまうような行動など、働くうえでの喜びについて話してくださいました。また、ご自身の子どもを育てながらの働き方や、育児に関して利用したグループの制度などについてもお聞きしました。障害児看護の仕事をより知っていただけるインタビューです。ぜひご覧ください!

  • 長く、深く接しながら
    利用者さんのことを理解する

    基本的なことですが、緑成会整育園の機能を教えてください。

    基本は小児科や歯科などの外来と、障害をお持ちの方の入所です。それとショートステイがあって、1泊2日から利用できます。

    入所されている利用者さんの年代はさまざまですか。

    そうですね、10代から70代の方までいますよ。利用者さんごとに個別性がすごくあるんですよ。好みひとつ取っても、このクッションはこの向きが良いとか、こっちの向きが苦手とか。細かくみなさんにあるので。私は介護士さんに教えてもらいながら覚えました(笑)。

    そういう好みは、一個一個試した結果なんですか。

    リハビリスタッフさんも関わって、利用者さんに対して「こういう姿勢がいいんじゃないか」とか、連携を取りながらですね。会話でのコミュニケーションが取りづらい分、その時の反応を見たり、表情から読み取ったりするので、けっこう奥深いなと思いますね。

    最初は難しそうですね。

    初めはわからないので、一緒についてくれた先輩とか、介護士さんに聞きながら徐々にですね。それと、接していくうちに、その利用者さんのことを段々知ることができるんです。様子の変化には敏感になっていきますね。

    さまざまな表情を見るうちに
    利用者さんのファンになる

    こうした障害者の方の入所施設に、戸島さんのように総合病院などから移ってくる方も多いと思いますし、今まさに転職先の候補として考える方もいらっしゃると思うんですが、どういうところがこの仕事の魅力だと思いますか。

    やっぱり利用者さんそれぞれに個性があって、こういう言い方をしていいかわからないですけど、かわいいんですね。長く働いてると、一方的にファンみたいな感じになりますから(笑)。スタッフはみんなけっこうその感覚があるかもしれないです。

    深く関わるからこその感覚ですね! どういったところが推しポイントになるんですか。

    スタッフによってツボも違うと思いますけど、ちょっとした仕草が愛くるしいとか、笑顔がかわいいとか、接していてそういう表情が見られるのは喜びですね。

    どんなタイミングで笑ってくれますか。

    例えば、人の失敗を笑う利用者さんがいるんですよ! 私が物を落とした瞬間に「あはは」って笑われると、「えーっ」て思いますよ(笑)。

    意地悪ですね(笑)。

    そう、「そこで笑うの?」って(笑)。あとは、行動で示してくれるのもいいんですよ。

    どういうところですか。

    利用者さんはたくさん動くわけではないので、冷房で寒くなってしまわないように、病棟では冷房をつけないこともあるんですよ。ただ、私たちは動いてると多少暑くなるので、スタッフステーションは冷房がついているんですね。でも1人、冷たい場所が好きな利用者さんがいて、涼しいのがわかるのか、気がつくと徐々に徐々にステーションに入って来るんですよ(笑)。それもまた愛らしいというか。

    いろんな形で伝えてくれるんですね。

    言葉は発せないけど、行動で教えてくれるという部分ですね。一つひとつはちょっとしたことなんですけど、利用者さんや私たちにとっては大事なサインですし、それが日常のなかで、かわいい部分だったり面白い部分になってくるんです。

    長い時間を過ごすからこそわかるところも多いといいますか。

    そうやって関係が深まって利用者さんと仲良くなると、ハマっていくというか、抜けられなくなります(笑)。

    ちなみに同僚の看護師さんはどういうきっかけで入った方が多いですか。

    さまざまですけど、私のように、子どもを育てながら落ち着いて働ける環境を求めて、という方もいますし、障害者の方と関わる仕事がしたくて、緑成会整育園に来たっていう方もいますし。ただ、給与面を主な目的にして入られると大変かもしれないです。実際、体力も使いますし、やることも多くあるので。

    気持ちがないとできないお仕事と言いますか。

    そうですね、どの職場でもそうだとは思いますけど。もちろん給与は大事なんですが、それだけを理由に入ってくる方は、仕事が雑だったり、結局続かなかったりという傾向はあるかもしれないです…(笑)。

    菜園を通じて利用者さんにいろいろな刺激を

    看護師として実際にどのように利用者さんに関わるのでしょうか。

    医療的なこととしては採血とか人工呼吸器の管理、吸引、経管栄養やバイタルを測るなど基本的なことが多いです。それと、オムツの交換や着替えについても看護師がやります。

    利用者さんに楽しんでもらえるようなこともされて。

    そうですね。室内にいる時間が長くはなってくるので、なるべくチャンスがあれば外に出て刺激を受けてもらえたらなと。

    そのことに関して、自分から工夫とか提案をされることも。

    もちろんできます。安全面を考慮すると、すぐ実現できない時もありますが、積極的に取り組んでいきたい部分です。例えば、夏ならビニールプールを出して利用者さんに入ってもらうとか。リハビリ室からトランポリンを出して、乗ってもらったこともありました。私は園芸委員長として敷地内にある菜園を管理しているので、それに関わることで利用者さんに楽しんでもらおうと思って取り組んでいます。

    園芸委員会というのはどんなものですか。

    敷地内にある菜園の管理をしています。この近隣に、園芸の雑誌にも寄稿されるような先生がいらっしゃるんですけど、たまたまその方にご縁があって、ボランティアでお手伝いをいただきながら、いろいろな作物を育てているんです。

    利用者さんにも菜園に関わってもらっているのですか。

    私のいるフロアは寝たきりの方が多いんですけど、さつまいもの収穫の時は、車椅子のままでは畑に入れないので、芋につけたヒモを畑のギリギリ手前からみんなで引っ張りましたよ(笑)。

    『大きなかぶ』みたいですね(笑)。

    理想としては、畑に寝っ転がってもらったり、直接土に触ってもらったりしたいんですね。たくさん人がいる時でないとなかなかできないのですが。少しでも土に触れてもらいたいので、袋に入れた土を揉んでもらったり、プランターを持ってきて室内で種まきをしたりもしました。

    やっぱり日光とか土に触れるっていうのがいいんですね。

    感覚が優れてると思うので、だからこそもっと外に出て刺激を受けてもらいたくて。外の風も、きっと私たちと違う感覚で感じると思うんです。

    時短勤務が小学校卒業まで延長
    子どもを育てながら働きやすい職場

    戸島さんは今はグループの時短勤務の制度を利用されて。

    そうです。定時より1時間早くあがっています。

    時短の時間設定はスタッフさんごとでそれぞれですか。

    みなさん保育園の時間などに応じて相談のうえ決められていますね。うちは朝預けるのは主人に任せて、夕方のお迎えは私が担当するようにしていますので、帰りを少し早めにさせてもらっています。

    これから入られる方も、現在働いている方も、相談すれば利用できるわけですよね。

    しかも2019年度になってから、グループの時短制度が変わって。今まで時短の期限が3歳の誕生日までだったんですけど、小学校卒業までに延びたんです! もしそれがなかったら、私は常勤からパート勤務に変更しようかと思っていました。

    お子さんがいるスタッフさんにとっては大きな変更ですよね。

    法律上、育休も2年まで取れるようになりましたし、出産で退職ということを考えなくてよくなりましたね。

    ちなみに託児所を活用されている方も多いですか。

    私も以前使っていましたし、けっこう使っているスタッフさんもいらっしゃいますよ。産休明けて割とすぐに復帰される方は、託児所を利用する方も多いです。

    職場に子育てしている方が多いのも心強いですよね。

    相談しやすいですからね。それと近隣に住んでいる方が多いので、近辺の学童保育とか保育園のこととかは、情報収集できるというのもいいところです。子どもを育てながら仕事も続けるっていう方にはとても働きやすい職場だと思います。

    利用者さんにもっと刺激を
    新しい一面を見られる喜び

    緑成会整育園ならではのいいところはどんなところですか。

    生活の場なので、医療機関とはいえ家庭的な感じがあるところです。病棟に小上がりがあるので、危険さえなければそこに横になってもらったり、デイルームで過ごしてもらったり、ベッドに寝かせっぱなしにせず、生活にメリハリをつけていて。ご家族からは、そういう過ごし方にアットホームさを感じる、と言っていただいています。

    病院っぽい雰囲気ではないんですね。

    その感じは全くないですね。それと、ショートステイの受け入れでお断りすることはほとんどないです。場合によって日数調整をお願いすることはあるかもしれませんが。できるだけご家族の負担を軽減して、少しでも休んでもらえるように。やっぱりご家族に寄り添うということは意識しているところです。

    では、今後の目標を教えてください。

    もっと療育というか、刺激を受けてもらうようなことをどんどんやっていきたいなと思っています。お散歩ももっとできたらいいなと思いますし、お花見しながら外でご飯を食べるとか、プールで泳ぐとか。

    日々何かしらの刺激を受けながら育っていけるような。

    ご自宅で暮らしている方なら、ご家族がどこかに連れて行かれてということをすると思うんですけど、ここで暮らす以上は私たちがそういうことをやっていけたら、というのが理想なんです。

    スタッフのみなさんとふれあいながら、日々さまざまなことに取り組んで。

    そういうことをするたびに、利用者さんの新しい一面が見えてきますし、それが何より私たちにとっても楽しみになるんです。現状、人数的な問題があって完璧にできているとは言えないので、今後はスタッフも増員しながら、もっと取り組んでいけたらいいなと。

    少し前ですが、障害者の方を巡る痛ましい事件もあって、思うところはありましたか。

    犯人が実際に施設で働いていた人だったっていうところが信じられなかったです…。私からしたら、利用者さんの笑顔を見られるのがやりがいなのに。

    本当にそうですよね。日々の変化から喜びも感じられるわけですし。

    まず世間的に、どんなところなのかそもそも知られていないっていうことも大きいなと思ったので、こういった施設のことや、利用者さんとふれあうことの魅力を、もっと知ってもらいたいですね。

    癒しの時間は水族館

    お休みの日はどのように過ごしていますか。

    まず家事をしています(笑)。

    ご家族みんなで出かけることも。

    子どもがすごく体を動かすのが好きなので、公園に行きたがるんですよ。なのでアスレチックとかがあるような大きなところに行っています。

    わんぱくですね〜。ご自身はどういうところに出かけるのが好きなんですか。

    私は博物館とか水族館が好きなんですよ。だから旅行に行った時もそういうところによく行きます。時間があれば美術館も行きたいですし。でもそういう時も子どもは公園に行きたがりますけどね(笑)。

    そうなりますよね(笑)。ここが好きっていうのはありますか。

    大阪の海遊館ですね。大きな水槽をぐるぐる回りながら見ていけるのでお気に入りです。水槽を見ながらボ〜ッとするのが好きなんですよ。

    仕事以外で目標ありますか。

    前々から、刺繍をやりたいんです。やりたいなとは思うんですけど、なかなか時間がなくて…。もの作ったりするのは好きなんですよね。

    始めやすい刺繍キットみたいなのも売っていますしね。

    実は針までは買ったんです(笑)。

    (笑)。尊敬する方はいますか。

    この緑成会整育園の有賀師長ですね。

    どういうところを尊敬しますか。

    常に「利用者さんのため」という想いがすごい伝わってくるところです。

    お仕事もいろいろと教えてもらったんですか。

    そうですね。仕事に対してとても細やかで、「ここまでするんだ!」っていう時もありますね。私はどちらかというと大雑把なところがあるので、いつも見習わなきゃなと思っています(笑)。

  • 前編を読む

    profile

    戸島 由加(とじま ゆか)

    【出身】新潟県小千谷市
    【職種】看護師
    【好きな食べ物】ジャンクフード(ポテト類)、たこ焼き(ソースより醤油派)
    【趣味】博物館巡り

     

    病院情報

    一般財団法人 多摩緑成会 緑成会整育園

    東京都小平市小川町1丁目741-34

    小児科(小児神経科)、歯科、リハビリテーション科

    肢体不自由児施設として開園し、重症心身障害児(者)施設を経て、今年で65年以上の歴史を持つ、医療型障害児入所施設です。2016年10月に新築移転。より多くの方がご利用いただけるよう入所病床は倍増、通所サービス内容もリニューアルいたしました。これまでに得た経験や知識を活かし、肢体不自由障害のみならず発達障害など障害を持つより多くの方をサポートします。また、見てわかる身体の障害だけでなく、周りの環境にも注目し、多様化する家族形態から生まれる孤立した育児環境や、なぜその障害を持ったのかという障害背景など、見て捉えにくい悩みにも対応・支援できるよう体制を整えていきます。