▨EPAとは
EPA(Economic Partnership Agreement=経済連携協定)は、特定の国との間で人材の移動や投資など幅広い分野で経済関係を強化していく取り組みです。医療・介護の業界でも2008年より、EPAに基づき国家資格の取得を目指す看護師・介護福祉士候補者の、海外からの受け入れが始まりました。
EPA(Economic Partnership Agreement=経済連携協定)は、特定の国との間で人材の移動や投資など幅広い分野で経済関係を強化していく取り組みです。医療・介護の業界でも2008年より、EPAに基づき国家資格の取得を目指す看護師・介護福祉士候補者の、海外からの受け入れが始まりました。
当グループでは、2018年度までにインドネシア・フィリピン・ベトナムから累計で392人(うち看護師候補者243名、介護福祉士候補者149名)の候補者を受け入れてきました。技術を学びながら国家資格取得を目指し、母国の医療・介護技術の向上を図ります。現在、当グループでは看護師の国家試験合格者49名のうち46名が正看護師として、介護福祉士の国家試験合格者12名のうち10名が、グループ内で働いています。
安価な寮費や、3度の食事を病院の食堂で食べることができるなど、生活面においてのサポートを手厚く行っているのが特長です。文化や宗教の違いなどにも理解をもって接し、働きやすい環境づくりに務めています。
実際の受け入れ現場における候補者の存在は、仕事の重要な担い手としてはもちろん、周囲の職員にとっては育成を行うことがひとつのモチベーションとしてポジティブに作用しています。また、なかなか一緒に働く機会のない海外の方と行動を共にすることで視野が広がり、新たな視点が得られることにもつながっています。今後も継続して受け入れを行い、日本の医療・福祉技術を伝えていきたいと考えています。
候補者は6カ月の日本語研修を受けたのち、グループ内の病院・施設に配属され、看護師は3年、介護福祉士は4年の研修期間内で国家資格取得を目指します。母国語でない日本語を使っての試験は、研修生にとってまだまだ高いハードルとなっていますが、その難関を乗り越え、医療・福祉の現場で活躍してもらえる人材を育成できるよう、引き続き受け入れに取り組んでいきます
EPA候補者としてインドネシアから来日し、実際に当グループで看護師・介護福祉士として活躍する2人のスタッフに、研修のことや、支援体制、お仕事への思いを聞きました。
(左)クリスティン レニタサリさん
(右)ムヒマトゥル イスラミヤさん
クリスティン レニタサリさん
来日のきっかけは、キャリアアップ
中学生ぐらいのころ、母の入院に付き添ったときに見た看護師の姿に憧れて、インドネシアで看護師になりました。3年ほど働くうちに、同じアジア圏でシステムが優れている日本の看護を勉強したいと思い、EPA制度を利用しました。
教科書に載っていない言葉との格闘
来日した頃は、特に「方言」に苦労しました。教科書で覚えた日本語はどれも標準語ですが、勤務先のある徳島県では阿波弁が使われていて、全く違う言語を聞いているような感覚でした。スタッフの方は標準語で話してくれる人も多いですが、高齢の患者さんは方言で話す方がほとんどですので、言葉の壁というよりも、方言に戸惑いました。
「責任」を感じた正看護師免許の取得
私はインドネシアで看護師免許を取得しましたが、日本で働くために、まず准看護師の資格を取り、そのあとに正看護師の資格を取得しました。正看護師になったことでリーダー業務や患者さんへの電話対応、カンファレンスの資料づくりなど多岐に渡って介入する場面も増えました。嬉しさもありましたが「責任」を感じた方が強かったです。今でも専門用語の確認や詳しい説明が必要なときには文法のチェックをスタッフや先生にお願いしています。スタッフのみなさんは、嫌な顔もせずに励ましてくれたり、私の資料に間違いがないか対応してくれるので、心強く働くことができています。
信頼を築くためには、日本語でのコミュニケーションが大切
今は、同じ国の人も現場に増えてきたので、母国語で話す機会も増えました。ですが、患者さんに愛情を持って接するためには、日本語でのコミュニケーションを、患者さんだけでなく仲間との間でもとっておくことが大切です。そのことが、患者さんとの信頼につながります。EPA制度は日本での資格取得が目標になりますが、給与などの待遇だけではなく、日本の医療人としてのやりがいも大切にしてほしいと思います。
ムヒマトゥル イスラミヤさん
看護大学を卒業後、日本へ
私は、兄が看護師で親戚にも医療従事者が多かったこともあり、看護師を目指して看護大学を卒業しました。卒業後にEPAの制度を知り、「高齢者や障害者をサポートできる仕事」として、看護職に近い介護職を選んで来日しました。
心強い、グループの支援体制
平成医療福祉グループのEPA制度は、業務時間内で勉強ができるサポートが充実していたので、とても心強かったです。試験直前は、1日中勉強しても勤務扱いになるので、集中して試験勉強に励むことができました。また、働いている時間の中で日本語を勉強しているので、これからEPA制度で来る人もできるだけ日本語で話す努力をしてほしいなと思っています。
文化の垣根を越え、仲間とともに働ける環境
文化の違いなどはありますが、私は日本のことがとても好きになり、特に花がいっぱい咲く春が大好きになりました。また夏には、みんなで同じダンスを踊る「阿波踊り」という伝統文化があります。歴史ある行事にもスタッフのみなさんと何度も参加して踊りました。新しい仲間を作れたことで、ますます仕事を続けていきやすい環境になっていると思います。
「介護のプロ」として、選んだ道で後悔のないように
介護福祉士の資格を取得してからは、日勤だけでなく夜勤の業務も任されるようになり、一人前のスタッフとして扱ってもらえることが嬉しかったです。最初に目指した看護師とは医療的な差がありますが、「人のケアをする」という意味で求められる想いは同じなので、患者さんが病気で弱くなってしまったときに支えてあげられる存在になりたいと思います。これからEPAの制度で来日するみなさんも、研修と資格取得だけをゴールにせずに、「介護のプロ」としていろいろなことに挑戦してほしいと思います。
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https://www.epa.hmw.gr.jp/