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診療の質向上
診療の質を上げることは、医療機関としての命題であり、向上のためには、まず自らの課題への「気づき」が重要です。その課題に対してPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を繰り返し、改善につなげていきます。そのために当グループでは3つの柱を設けて取り組んでいます。
1Quality Indicator
(QI)の導入
明確な指標を設けて「診療の質」を評価します。数値によって「気づき」が可視化されるため、PDCAサイクルを繰り返すことが可能になります。多くの病院を横断的に比較するのではなく、それぞれの病院における診療の質を、時系列で改善することが目的です。
評価項目:入院(全病棟共通)
- 病床利用率、平均在院日数
- 死亡退院患者率
- 褥瘡発生率
- 褥瘡発生リスクの高い人に対する体圧分散寝具の使用率
- 転倒・転落発生率 / 転倒・転落による損傷発生率
- 口腔ケア実施率
- 身体抑制率
- ポリファーマシー率
- 必要栄養量充足率
- 診断記載率
- 中心静脈カテーテル挿入術の重篤合併症発生率
- 中心ライン関連血流感染(CLABSI)発生率
- 肺炎患者における抗菌薬投与前の血液培養実施率
評価項目:入院(病棟別:回復期リハビリテーション)
- リハビリテーション実績指数
- リハビリテーション提供単位数
- 筋肉量が増加した患者の割合
- 運動後BCAA付加率
- 経口摂取移行率
- オムツ使用率
- オムツ離脱率
- 膀胱留置カテーテル抜去率
- 病衣使用率
- 離床時間
- 入院後14日以内の家屋訪問実施率
- 退院後の生活指導ファイルを手渡して説明できている患者の割合
2 患者満足度調査の導入
2018年12月以降、年に2回、調査日時点で入院後7日以上経過している患者さん全員に、満足度調査を行っていきます。QI同様、このことによって「気づき」を得て、課題の可視化から改善につなげていくものです。アメリカではHCAHPS(※)surveyとして、患者さんの視点から医療サービスの質を評価する統一的な評価指数を政府が開発し、医療機関には公的な報告が義務付けられています。日本では現在そうした指数は特に設けられておらず、グループ内外に関わらず、病院ごとの実施状況や内容にバラつきが多いことが問題視されていました。
グループでの調査項目(一部)
- 各スタッフとのコミュニケーション
- スタッフコールへの対応
- 食事に関して
- 病院の総合的評価
- 病院を(家族や友人に)推薦する程度 など
3 各種委員会が効果を上げるための取り組み
病院ごとに委員会を設け、多職種がそれぞれの専門性を活かしながら診療の質について意見交換をすることで、診療の質向上につなげます。何となく開催しているだけにならず、責任を持って成果をあげる委員会になるように努力しています。また、年に数回、全病院の同一委員会メンバーが一堂に集まり研修会を行うことにより、病院ごとによる質のばらつきを防ぎます。
代表的な委員会
- 診療の質向上委員会
- 医療安全委員会
- 感染対策委員会
- 身体抑制廃止対策委員会
- 褥瘡対策委員会 など